ヒント(8) 在庫の多寡が経営にどう影響してくるのか

業界・業態にもよりますが、多くの企業は何らかの在庫を持っています。「在庫は少ない方が良い」とよく言われますが、必ずしも実態として、その通りだとは限りません。

 

そこで、在庫が経営に与える影響について考えてみます。

 

在庫はなぜ存在するのか

 

消費者や得意先は、自分に必要なものを必要な時に手に入れたいと考えています。売る側はそのニーズに応えなければなりませんが、手元に商品の在庫が無ければ、すぐに販売する事ができません。

 

この場合、こちらが商品を確保するまで相手が待ってくれれば良いのですが、大抵の場合、そうはいきません。在庫切れ(欠品)は、販売機会の喪失につながります。

 

これが続くと消費者が他店に流れたり、得意先から取引を打ち切られたりします。

 

よって、顧客に対するサービスの質を保つ為には、ある程度の在庫は『需要への適応力』として持っておく必要があります。

 

在庫過多の弊害

 

ところが、ご存知の通り、在庫が適正量よりも多いと、様々な弊害が生じます。『罪子』とも表現される在庫ですが、どのような問題が起きるのでしょうか?

 

(1)資金繰り悪化

 

まずは資金繰りの悪化です。最近では、『キャッシュフローの悪化』とも言われます。

 

商品の仕入や製造に掛かる費用は、それが売れても売れなくても関係なく、期日が来たら支払いをしなければなりません。

 

ところが、「商品が在庫として残っている」イコール「売れてない」という事ですから、入金は当然まだです。お金が出る一方で入って来ませんので、資金がその分不足します。

 

(2)保管コストの増加

 

商品を保管するにはコストが掛かります。倉庫代や担当者の人件費、商品に掛ける保険代などです。また、場所をとりますので作業効率や生産性が下がり、作業ミスや不正行為の可能性も増えます。

 

(3)商品寿命の問題

 

商品はいつまでも売れるのではなく、『寿命』があります。寿命が迫ると価格が下がり、寿命が切れると売れなくなります。これは生鮮品、季節商品、流行商品などに顕著です。

 

それ以外でも品質向上やマーケティング上の事情で、商品がバージョンアップされたりラベル表示が変更されたりします。すると、その前の商品は販売できず『廃棄対象』です。

 

在庫が多ければ多いほど、このリスクが高くなります。

 

(4)心理的な影響

 

上記(1)~(3)の問題は経営判断にも影響を与えます。

 

商品の投げ売りをして粗利益を自ら削ったり、押し込み販売をして、リベートや返品に苦しんだり、古い商品を販売して顧客からの信用を失ったりする企業は少なくありません。

 

また、在庫が多いと新商品導入の意欲が抑制されますので、販売戦略を間違える危険性もあります。

 

どうして在庫が増えるか

 

在庫が増える原因を一言で言えば、『作り過ぎ、仕入れ過ぎ』です。商品を確保する数量とタイミングを間違えなければ、在庫は増えません。

 

しかし、在庫管理がしっかり出来ていないと、必要量を読み間違えたり、欠品の恐怖感や大量仕入の誘惑にかられて、つい多めに確保してしまったりします。他にも色々有りますが、これらが積み重なって在庫が「何となく」増えていくのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2005 年11 月号掲載)

 

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