ヒント(9) 在庫を適正量に保つ在庫管理の考え方

在庫は『何となく』増えていくと前回お話ししましたが、これを防止するには在庫管理をしっかりする以外にはありません。

 

しかし、在庫をどう管理するのかが分からないと正しい管理はできません。そこで今回と次回は在庫管理の考え方についてお話しします。

 

在庫管理の基本

 

在庫管理の基本は『在庫数の把握』です。まず、現在の在庫がどれだけあるのかを知らない事にはどうにもなりません。

 

在庫数の把握は棚卸によってなされます。ところで、この棚卸ですが、年に何回実施しているでしょうか?

 

年に1回、決算時にだけ棚卸を実施する企業も少なくないようですが、このような企業では、在庫はまず、合いません。もし、従業員が商品を万引きしても、恐らく誰も気付かないでしょう。

 

棚卸は基本的には毎月実施すべきです。口座残高を年に1回しか確認しない企業は無いでしょう。在庫は現金・預金ほどではありませんが、会社の『資産』である事には変わりありません。まず、この点を押えておく必要があります。

 

在庫の動きを全て記録する

 

棚卸時点の在庫数が分かれば、次に日々の在庫の動き(入出荷・移動)を全て『記録』します。これによって在庫の数をつかむ事ができます。

 

このように書くと「そんな事は分かっている」と言いたくなるかも知れません。ところが、「言うは易く、行うは難し」でこれがなかなか難しいのです。

 

倉庫を持つ企業は通常、『在庫管理システム』を導入します。ところが「在庫管理システムを導入すると、在庫がピッタリ合う」と思っている人は少なくありません。これは完全な誤解です。システムを導入しただけでは在庫は合いません。

 

実は、在庫管理システムを入れたのはいいが、活用していないという企業は少なくないのです。

 

その原因は1つです。システム上の在庫数が信用できないからです。信用できないのは、システム上の在庫数が実際の在庫数と違うからです。情報とモノが一致していないこの現象を『情物不一致』といいます。

 

なぜ在庫数が合わないか

 

この原因もハッキリしています。先程、在庫の出入りを記録すると述べましたが、それに漏れや間違いがあるからです。

 

商品の入荷、出荷、移動に際して伝票を発行するのは基本中の基本です。これが無ければ記録は残せません。よって在庫も把握できません。

 

入力ミスもさることながら、現場における伝票発行の漏れや間違いが、在庫が合わない一番の原因です。

 

現場にとって伝票記入は面倒な作業です。特に、急いで出荷する必要がある時は、とにかく倉庫から商品を引っ張り出して、得意先に届ける手配をする事で頭が一杯で、伝票記入どころではなくなります。

 

だからこそ、伝票発行についてのルールをしっかりと定め、伝票記入の必要性を理解してもらった上で、従業員に例外なく遵守してもらう必要があるのです。また、経営者はルールの遵守状況を定期的にチェックしなければなりません。

 

これをせずに「納期に遅れるな」とハッパを掛けるだけでいるから、従業員が『自分流』で仕事をして、結果、在庫が合わなくなるのです。

 

従業員はロボットではない

 

従業員は人間です。命令した通りに動くロボットとは違います。仕事をしながらも頭の中では色々な事を考えています。面倒くさい事はしたくないし、目的が分からない作業も身が入らないでしょう。

 

そこで、正しく作業してもらうには、「そうするのはなぜか」を納得してもらわねばなりません。教育・研修といったものが必要になるのです。

 

また、人間である以上はミスをします。同じ人でも、その日の体調や気分によって仕事の正確さは変わります。

 

よって、ミスをしにくい作業方法を考える必要があります。ミスを咎めるだけが能ではありません。ミスが起きにくい『仕組み』を作るのも経営者や幹部の仕事です。勿論、その結果、バーコード等、IT を活用する事もあるでしょう。

 

話がずれましたが、在庫管理の土台は現場一人一人の動きに掛かっている、という事をご理解頂きたいと思います。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2005 年12 月号掲載)

 

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