ヒント(11) 投資と出費との区別がついているか

前回まで、企業の資金繰りを左右する要因である売掛金と在庫についてお話ししてきました。今回は投資についてです。ただし、投資と言っても株式投資の話ではなく、固定資産等への投資です。

 

投資に対する考え方

 

まず最初に、投資の必要性について考えます。投資というと「自分には関係ない」と考える人も多いのですが、果たしてそうでしょうか?

 

企業を経営するには『人・物・金・情報』の経営資源が必要です。これらを上手く調達・運用しなければ、同業他社に対して競争上の優位に立つ事は出来ません。

 

『物』とは建物や設備、知的財産権、ライセンスなどの固定資産を指します。『人』とは人材です。『情報』は読んで字の如く、将来、利益を生みだすのに必要な知識、ノウハウ、情報などです。将来、自社に利益をもたらすよう、資金をこれらに投入するのが『投資』です。

 

したがって、投資と出費では考え方が異なります。『出費』は単にお金が出て行くだけですので、削減できるものは削減した方が良いのです。

 

しかし『投資』は、将来の利益を見込んで行うもので、『リターン』という概念があります。投資額が少なければそれでよい、という訳ではなく、『投資対効果』が問題になります。将来に得る利益があるかどうかが投資と出費との違いです。

 

投資すべきか否か

 

固定資産に投資するには、資金が必要です。多くの場合、その金額は大きいでしょうから、経営者の判断が必要になります。

 

さて、目の前の案件に対して、投資をするかどうかは、どのように判断すれば良いのでしょうか。

 

大きな投資は、失敗すれば経営が傾きますから、フィーリングで決めるべきではありません。いくつかの判断基準がありますので、そのうちの1つを図に示します。

 

 

慣れてない方には難しく感じるかも知れません。1つ1つを見ていきたいと思います。

 

利益がいくら増えるか

 

投資判断で重要なのは、「投資の結果、将来いくらの利益が発生するか」という点です。そこで、投資をすれば「投資しない場合に比べて」どれだけ入ってくるお金が増えるか、を評価したのが『増加利益』です。

 

増加利益は現金ベースで算出しますので、減価償却費などの「お金が動かない費用」は計算に入れません。(正確にはフリーキャッシュフローを求めます)。

 

運用コストも忘れない

 

投資して取得した固定資産には、維持に掛かる費用(運用コスト)も必要になります。慣れてない分野への投資の際は見落としがちなので注意が必要です。

 

また、業務手順の変更を伴うような投資では、現場の不慣れから一時的に仕事の生産性が落ちる事も考慮する必要があります。

 

投資効果は何年続くか

 

増加利益と運用コストの差が、その年の『リターン』です。これが何年続くかの見積もりも重要です。パソコンのように、法定耐用年数まで使えないものもあります。

 

また、投資用に借り入れした資金には金利などが発生するため、同額のリターンでも「何年後か」によって価値は異なります。

 

これらを考慮した見積合計額が初期コストを上回るなら、投資はした方が良い、という事になります。

 

以上が投資判断の大まかな考え方です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年2 月号掲載)

 

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