ヒント(13) 資金の調達・運用・流出

企業を健全に運営するには、資金の調達・運用・流出をうまく調整する必要があります。資金繰りに与える影響の大きい、売掛金、在庫、投資については、過去数回に渡ってお話ししてきました。今回は、その他のトピックについて説明します。

 

支払いサイトは適切か

 

資金繰りを考える上で、「買掛金や未払金をいつ支払うか」は大きな課題です。「商品や材料を仕入れてから、何日後に支払いをするか」という期間を『支払いサイト』といいます。支払いサイトを考える際は、買掛金だけでなく未払金や未払費用も含めます。

 

なお、「商品を売ってから何日後に代金を回収するか」を『回収サイト』といいます。回収サイトは短い程、資金繰りは楽になります。早くお金が入ってくるからです。

 

支払いサイトはその反対で、長い程、資金繰りが楽になります。お金が出て行くのが遅くなるからです。よって、基本的には支払いサイトが長くなるようにします。

 

ただし、売掛回収の短縮と違い、支払いサイトを無理に延ばそうとすると、「資金繰りが厳しいのではないか」と取引先に疑われますので注意が必要です。

 

そうは言っても、意味もなく支払いサイトを短くして自分の首を絞めている企業があるのも事実です。取引先に不安を抱かせない範囲で、適正な支払いサイトを検討していくのがいいでしょう。

 

融資を受ける

 

中小企業の場合、資金調達の方法は銀行からの融資が多いと思います。社債発行や増資などもありますが、融資に比べるとまだ少ないでしょう。

 

資金が必要な時に融資を受けやすくする為には、普段から銀行とは良好な関係を築いておくのが賢明です。大きな資金が必要な場合は、早めに相談する事も大切です。

 

普段音信の無い知人から、ある日突然「金を貸してくれ」と言われたらどう思うでしょうか。その『知人』と同じ事をしていないでしょうか?

 

財務資料も正しく作成する必要があります。赤字だと融資を受けにくいからと、粉飾決算に走る経営者もいますが、自分の首を締める行為です。本当は赤字なのに、粉飾して無理に黒字にしても、本来支払う必要のない税金を支払う事になり、余計に資金繰りが苦しくなるだけです。

 

また、粉飾の事実を隠し通そうとする余り、粉飾の度合いが年々大きくなり、経営者自身も自社の現状を見失う事もあります。

 

経営者関連の取引に注意

 

オーナー企業では、経営者が自分の会社に資金を貸すケースが多いと思いますが、公私の管理はしっかり行う必要があります。

 

中には、経営者の財産と会社の財産を混同しているケースも見られます。この場合、経営判断を間違えやすく、会社が傾く事すらあります。なお、会社から経営者に貸付をしている企業もありますが、これは公私混同の禁じ手です。

 

資金需要を予測する

 

資金は足りなくなったら、その時点で経営が破綻します。よって、月の途中で資金が不足しないよう、しっかりと毎月の資金需要を予測しなければなりません。

 

売上や原価、固定費を予想し、いつどれだけの資金が必要になるのか、計画を立てておく必要があります。これをしない場合、資金が突然不足し、慌てることになります。

 

資金の流出

 

資金の流出というのは、株主への配当や役員賞与、税金などです。

 

経営者の報酬が高い事は特に問題ありません。それだけのリスクを負っていますし、中小企業の場合、会社がいざという時は、経営者が会社に資金を貸す必要もあるからです。その意味では、経営者は役員報酬を全額生活に使うのではなく、自社の有事に備えて残しておくべきです。

 

また、税金は出来るだけ払いたくないお金かも知れません。しかし、社会の基盤は、税金によって賄われています。税金を納める事は、企業にできる立派な社会貢献なのです。

 

資金繰りの2つの意味

 

『資金繰り』の『繰り』は『操る』ということですが、世の経営者には、資金を操る経営者と、資金に操られる経営者の2通りがあります。あなたは果たしてどちらでしょうか?

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年4 月号掲載)

 

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