ヒント(14) 客を選ぶ会社は客から選ばれる

商売の基本は、商品やサービスを売って粗利益を得ることです。何をさておいても、まず商品やサービスが売れなければ話になりません。そこで、どうすれば売上が増えるのか、を考えていきたいと思います。

 

簡単に売れる方法はあるのか

 

結論を先に言えば、簡単に売上が増えるテクニックは存在します。欲望や恐怖心を煽るような広告を打てば、購買率は高くなると言われています。しかし、それで長期的に売れ続けるかどうかは疑問です。目先の売上増加の為に姑息な手を使えば、お客様からの信頼を失い、長期的には却って低迷する事もあるからです。

 

小手先の技に頼るのではなく、長きに渡ってお客様から支持される商品やサービスを提供する方法を考えるべきでしょう。

 

基本は差別化

 

独占企業でない限り、あなたの商売には、必ずライバルが存在します。売上増加を考える場合、競合他社の存在を頭に置いておく必要があります。一人のお客様にとっては、商品やサービスを購入する先として、複数の選択肢があります。自社が選ばれる保障はどこにもありません。

 

そこで、お客様に自社の商品やサービスを選んで貰えるよう、競合他社との違いを打ち出す必要があります。これが差別化です。

 

値下げは麻薬

 

差別化で、一番手っ取り早いのは、値下げをする事です。しかし、むやみに値下げをするのは危険です。値下げをすると、一時的にはお客様が増えるかも知れませんが、簡単に他社にマネされます。

 

他社の価格追従によって値下げの効果が薄れると、お客様も離れます。すると、更に値引きに走らざるを得なくなります。これを繰り返しているうちに、粗利益がどんどん少なくなり、消耗戦に突入します。そうなると、この状態から容易には抜け出せなくなります。

 

値引きは簡単に差別化できるが故に簡単にマネされます。マネというのは『差別化つぶし』の事です。

 

価格で差別化できるのは、他社よりも安くしても利益が出せる仕組み(仕入先や生産体制等の優位性)がある企業だけです。その他は、安易には値引きに走らない方が賢明です。

 

どうやって差別化するか

 

マネがされにくい差別化の為には、商品やサービスに付加価値をつける事が大切です。同業他社の商品やサービスよりも、お客様にとって価値の高い商品やサービスであってこそ、お客様から選んでもらえます。

 

ところが、ここで問題があります。自社の商品やサービスにどんな付加価値を付ければいいのでしょうか?

 

そもそも、万人受けするような付加価値の提案は可能でしょうか?可能だとしても、資金、設備、人員が限られている中で、実現する事が、果たしてできるのでしょうか?

 

『お客様』とは誰の事か

 

経営資源の潤沢な大企業ならともかく、同業他社がそれぞれ差別化に取り組む中で、全ての人に、他社との違い(優位性)を認めてもらうのは困難な事です。よって、「誰に対して付加価値を提供するのか」を明確にする必要があります。

 

「買ってくれる人は全てお客様だ」と思われる方も多いと思います。実際に商品やサービスを購入された場合は、全てのお客様に対して、同様に接するべきでしょう。

 

しかし、買ってもらう仕掛けを考える段階では、『お客様』の対象を絞り込む必要があります。

 

「こういう人にお客様になって欲しい」という、『顧客ターゲット』が明確にならないと、「お客様にどんな価値を提供するのか」という『コンセプト』が明確になりません。

 

コンセプトが明確でない商品やサービスには個性がありません。個性のない商品やサービスは、似たような他社の商品やサービスに埋もれてしまいます。お客様から見れば『その他大勢』の状態です。これでは、価格で勝負するしかありません。

 

お客様像を一言で言えるか

 

顧客ターゲットをどのように設定するか、といった考え方は次回に譲りますが、自社の販売対象となる「お客様」を絞り込む事によって、差別化がし易くなり、結果、そのお客様から自社が選ばれる事になります。あなたは、顧客ターゲットを一言で言えるでしょうか?

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年5 月号掲載)

 

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