ヒント(18) 自社の位置づけを知るということ

競合他社との差別化を図り優位性を獲得するには、業界の中における競合状況をよく把握しておく必要があります。

 

どの企業も自己の利益を求めて、色々な作戦を考え、実行してきますが、その手が止むことはありません。自分が立ち止まっていても、周囲は決して立ち止まってくれないのがビジネスの世界というものです。

 

この点を踏まえれば、自ずと大切になってくるのが『競合調査』です。

 

織田信長が褒美を与えた人物

 

戦国時代の雄、織田信長が今川義元を桶狭間の戦いで破った時のことです。今川軍が2万5千人の大軍であったのに対して、織田軍はたったの数千人。誰もが今川軍の勝利を確信していた中、織田軍は今川義元を討ち取り、文字通り『歴史的勝利』を手にしました。

 

この戦いで、織田信長が一番の褒美を与えたのは誰であったか?当時の常識では、相手方大将の首を取った武者の筈でした。しかし、信長が褒章したのは、「今川義元が桶狭間で休憩する」という、たった一つの情報をもたらした人物でした。

 

情報が持つ力を知る信長は、その後、天下統一の目前まで迫ることになります。

 

競合に対する研究の大切さ

 

一旦、ビジネスの世界に足を踏みいれると、そこは戦いの場です。同業者が力を合わせて市場を作り育てていく、というケースも中には有りますが、それでも長期的には互いに競合関係になります。

 

お客様の数に限りがある以上、また、お客様の予算に限りがある以上、どうしてもパイの奪い合いは避けられません。

 

そこで、自社が業界内で少しでも優位に立つために競合他社の状況を知っておく必要があるのです。

 

これはビジネス以外の世界でも同じです。野球やサッカーなどのスポーツでは対戦相手チームの研究を念入りに行います。その方が、試合を有利に運ぶ事ができるからです。囲碁や将棋では、相手の手を知るどころか、相手の次の手を読みます。競う相手がいる以上、一人よがりの動きをしていては勝てないのです。

 

競合のどこを見るのか

 

競合他社については、広告やホームページから情報を得られますし、店舗があるのなら来店すれば色々なものが分かります。顧客や取引業者から得られる情報もあるでしょう。

 

このようにして競合他社の動きを定期的に観察します。一回きりではなく定期的に実施することが大切です。相手も常に動いているのですから。

 

さて、競合他社の研究においては、どこを観ればよいでしょうか?それは、相手の一番強い部分(コアコンピタンス)と一番弱い部分(アキレス腱)です。

 

相手の強い部分は、自社にとっては大きな脅威です。大きな脅威ではありますが、学ぶ(盗む)点はたくさんあるでしょう。おそらく、商品やサービスの単発的な特徴だけではなく、内部の組織体制や、取引先との関係、技術力、従業員の動きや勢い等から強みが生まれてきている筈です。

 

また、相手の弱い部分は、こちらが顧客を獲得する突破口になります。格闘技では、相手がケガをしている場合、そこを徹底的に攻めるといいます。これは卑怯な事ではなく、勝つ為のセオリーなのです。

 

自社のポジションはどこか

 

業界にもよりますが、競合他社は2つや3つではない場合が殆どでしょう。この場合、自社の位置づけを業界マップの中で明確にしておけばいいでしょう。

 

業界内で各企業を特徴付ける要素(軸)を2つ選択し、これを組み合わせて自社や競合他社をマッピングしていきます。小売業であれば例えば次のようになります。

 

 

その上で、自社はどのポジションを取りに行くのかを明確にして、戦略を構築していきます。商品の摸倣や価格追随だけでは得られない、大きな戦果を得ることができる事でしょう。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年9 月号掲載)

 

一覧表に戻る