ヒント(20) どんな商品やサービスを売るのか

今回は、マーケティングの4Pの最初である『製品(Product)』についてです。マーケティングと言えば、難しく感じる方もいるかも知れませんが、蓋を開けてみるとそうでもありません。

 

基本的な事が意外とできない

 

ビジネスの基本は、『お客様が欲しいと思う商品やサービスを売る』という事です。この基本がしっかりと押えられていれば、会社や店が傾く事はまず有りません。

 

「そんな事、子供でも知っている」と思われるかもしれません。しかし、本当に実践できているでしょうか?

 

と言いますのは、『何となく売っている』または『自分が好きなものを売っている』という人を多く見かけるからです。これが、お客様が欲しい商品やサービスと『たまたま』一致していればいいですが、中々そうは行きません。すると、売上は低迷します。

 

商品やサービスが売れない理由は色々ありますが、一番大きな要因は、売っている商品やサービスと、お客様が求めている商品やサービスとの『ズレ』です。

 

商売には相手がいる

 

皆さんの中で、「客に悪いものを売りつけてやろう」と考えている人は少数派でしょう。悪銭身につかず。長続きしないからです。殆どの人は、お客様に良い商品やサービスを提供したいと考えていることでしょう。

 

ここで質問ですが、『良い商品やサービス』の『良い』というのは、誰が決める事でしょうか?

 

ジャンルによっては公的機関が品質を認定する場合もありますが、ビジネスで考えた場合、商品やサービスの良さを決めるのは『お客様』です。お客様が「この商品は他社製品よりも良い」「この店の味は値段と比較してお手頃だ」と思うからこそ、お金を出してくれるのです。これは、お客様が企業であっても同じことです。

 

ところが、商品やサービスの良さをお客様(買う側)でなく、売る側である自分達で勝手に決めつけていないでしょうか?

 

と言いますのは、お客様が求めている『良さ』と売る側が考えている『良さ』が必ずしも一致するとは限らないからです。

 

『お客様の為に』の間違い

 

多くの企業では「お客様の為に仕事をしよう」「お客様の為にがんばろう」という呼びかけがなされています。

 

これは、「会社の為に仕事をする」という考え方への反省だと思います。バブルがはじけた後、『顧客志向』という言葉が、しきりに叫ばれてきました。

 

独りよがりではビジネスは成功しない。目を外に向けよう。会社や上司にではなく、お客様の方を向こう。我々の給料を保証するのはお客様だ。こういった趣旨です。

 

ところが悲しいかな、「お客様のために」と叫んで、それで満足してしまっている企業が非常に多いのです。自分達は良いサービスを提供していると思い込んでいる企業のことです。

 

たとえ、「お客様の為に」どれだけ一生懸命仕事をしても、それが相手に伝わるとは限りません。

 

例えば、私は高級な煙草をもらっても嬉しくは思いません。なぜなら、私は煙草を吸わないからです。それよりも缶コーヒーを貰った方が喜びます。その人が「井海のために」と思って身銭を切って高級な煙草を買ってプレゼントしても、それが当の本人には伝わらないのです。私を思ってのプレゼントなら気持ちだけは受け取りますが、これが商売であれば、全くの空振りになってしまいます。

 

これは、考え方が根本的に違うからです。

 

『お客様の立場に立って』考える

 

どんな商品やサービスを提供すればいいのか?これは、お客様の立場に立って考えるべきです。

 

「お客様の立場に立つ」とは、たとえば、「自分がお客様だったらどうか?」「自分なら喜んでお金を出すか?」と自問自答する事です。こう考える事によって、自社の商品やサービスを客観的に評価する事ができます。また、お客様の事を深く知ろうという事にも繋がります。お客様が置かれている状況、価値観、行動パターン、嗜好などを知る事によって、その立場をより明確にイメージできます。この点は、ドラマの役作りと似ています。

 

「お客様の為に」は売る側から買う側を見ていますが、「お客様の立場に立つ」は、買う側から売る側を見ます。方向が180度違うのです。

 

この違いが、お客様のニーズ(必要としているもの)の捉え方の正確さの違いに大きく影響してきます。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年11 月号掲載)

 

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