ヒント(21) 商品やサービスのコンセプトは何か

マーケティングの4Pの最初である『製品(Product)』の続きです。お客様が欲しいと思う商品やサービスを売るには、お客様の立場に立って物事を考えなければなりません。その際、いくつかの視点があります。これは、商品やサービスのコンセプト作りにも関わってきます。

 

誰に(WHO)

 

お客様といっても、人や企業によって持っているニーズは異なります。野菜一つを買うにしても、安さを重視する人、味を重視する人、安全性を重視する人、自宅からの距離を重視する人など、様々なニーズがあります。企業が事務機器を購入するにしても、性能を重視する企業、サポートを重視する企業、初期コストを重視する企業、運用コストを重視する企業など、様々です。

 

こういったニーズの全てを満たしきるのは、現実には困難です。もし可能であっても、特徴のない商品やサービスになってしまうことでしょう。

 

そこで、他社との競合も考慮し、「どんなお客様に売るのか」を明確にする事が大切です。業種によって色々な切り口はありますが、まず地域(エリア)を限定した上で、属性(生活スタイルや業種・業態など)で大まかに区切り、最終的に「購入に際して何を重視している人(企業)か」で『顧客ターゲット』を絞り込むのが、オーソドックスな考え方です。

 

何を(WHAT)

 

売れない商品やサービスの多くに共通するのは「何が売りなのかが分からない」という点です。「○○が売れているらしい」と、競合他社の猿真似をしたり、他人の薦めを鵜呑みにしたりしていては、お客様のニーズに深く切り込めず、心の琴線に触れる事はできません。

 

ここで「何を」と言っているのは、具体的な商品やサービスの事を指しているのではなく、どんな価値を提供するのか、という商品やサービスの基本設計の事を指しています。

 

勿論、これは『顧客ターゲット』が持つニーズを満たすように設計しなければなりません。設計上の観点は次の通りです。

 

(1)中核価値
(2)付加価値
(3)イメージ

 

(1)の『中核価値』は、「そもそもお客様は何を求めているのか」という根本的な価値です。味なのか、雰囲気なのか、性能なのか、ステータスなのか、価格なのか、手軽さなのか、非日常体験なのか。ターゲット層によって違いますが、「これさえ満たしていれば、お客様は離れない」と言える根本的な価値です。ここを見失う事なく、継続的に高めていく事が非常に重要です。

 

(2)の『付加価値』は、中核価値にプラスアルファする部分です。デザインであったり、配達サービスであったり、イベントであったりします。これによって、客単価の向上や短期的な差別化を図っていきます。

 

既にお分かりかと思いますが、顧客ターゲットにとって、何が中核価値で何が付加価値かをハッキリと区別する事が大切です。しっかりとした土台の上にプラスアルファがあるのです。

 

(3)の『イメージ』は、①と②の価値を、お客様側にどう認識して頂くか、という事です。自社が提供したい『価値』を、お客様が正しく受け取ってくれる保証はありません。どんなイメージを持って頂くか、こちら側から積極的に仕掛けを施す必要があるのです。

 

購入後はもとより、購入前に、価値を認識して貰えないと、購買意欲に繋がりませんので、イメージ作りは非常に大切です。 具体的には、ネーミング、キャッチコピー、パッケージデザイン、プロモーション、などを考慮します。

 

どのようにして(HOW)

 

これは、顧客ターゲットのニーズを満たすような中核価値や付加価値、イメージを何から生み出すのか、という事です。

 

具体的には、技術、ノウハウ、人材、オペレーション、ビジネスモデルなどです。これらは、自社が顧客に価値を提供する基盤になります。

 

どれをとっても、短期間で整備・強化する事はできません。長期的な取り組みの中で熟成されていく性格のものです。根気が要りますし、継続的な投資も必要です。

 

よって、自社の強みをよく認識し、今後はどこを目指すのか、という方向性が明確になってなければなりません。経営戦略なくして商品やサービスの設計をしても、中途半端になってしまうという事です。

 

広告宣伝や販路開拓を考える前に、こういったコンセプトの定義が重要なのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2006 年12 月号掲載)

 

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