ヒント(24) 安物売りの銭失い

世の中には、ヒマだけど儲かる会社もあれば、忙しいのに儲からない会社もあります。その大きな違いの一つが『価格設定』です。価格(値段)は、企業の利益を左右する非常に大きな要素です。そこで今回は、商品やサービスの価格について考えてみます。

 

価格とは何か

 

価格とは、「商品やサービスをいくらで提供するか」という決め事ですが、これには次の2つの意味があります。

 

(1)買う側に価値を提示する
(2)売る側に利益をもたらす

 

商品やサービスの価格は、経済学的に言えば、需要と供給のバランスで決まります。ただ、現実の商売では、価格は売る側が提示し、買う側(お客様)はそれを見て、買うか買わないかを判断します。

 

その際、お客様は、自分が感じる商品・サービスの価値と、提示された価格とを天秤にかけ、価格の方が安ければ(=価値の方が高ければ)購入します。価格とは、売る側が、自分の商品やサービスの価値をお客様に提示する際の『ものさし』なのです。

 

よって、「この商品を1万円で買いませんか?」というのは、本質的には「この商品は1万円以上の価値があります。1万円で買いませんか?」という意味です。

 

また、価格は売る側に利益をもたらします。売上は『客数×購買点数×商品単価』の掛け算で決まります。価格はこのうち、商品単価に直接関係しますので、売上、ひいては利益に大きく影響します。

 

安く売りすぎて儲からない企業

 

価格が持つ『価値提示』と『利益獲得』の2つの意味を踏まえた上で、どのように価格を設定すれば良いのかを考えてみます。

 

まず声を大にして言いたいのは「商品やサービスを安く売りすぎるな」という事です。私が過去に経営指導した企業の中には、業績の悪い企業もいくつかありましたが、大抵は価格設定に問題がありました。

 

余りにも商品やサービスの価格を安く設定し過ぎていて、売っても売っても儲からないのです。世に言う『バタバタ貧乏』の状況を自らの手で作ってしまっている企業は決して少なくありません。

 

安売りのデメリット

 

商品やサービスの価格を安くして、お客様が感じる価値(これだけなら出しても良い思う金額)を下回れば、売れる数は増えますが、それで喜んでばかりいてはいけません。そのデメリットも知っておかないと痛い目に遭います。

 

安く売る際の代表的なデメリットを3つ挙げておきます。

 

(1)利益が少なくなる
(2)お客様の質が下がる
(3)商品・サービスの価値が下がる

 

まず(1)利益が下がります。価格を2割下げても販売数が3割増えれば元が取れる。そうではありませんよね。確かに売上は増えます。しかし、利益は下がります。

 

元々、売価1万円、原価6千円の商品が100個売れていた。売上高100万円、粗利益40万円です。これを値下げして売価8千円にしたら130個売れた。売上高は104万円と若干増えますが、粗利益は、26万円(2千円×1130個)と40万円から大きく下がってしまいます。

 

更に、自社が価格を下げると同業他社も追随してきます。価格による差別化は簡単だからです。結局は価格競争に巻き込まれて、自分の首がしまっていくのです。

 

次に(2)客の質が下がります。安さでなびくタイプのお客様は、簡単に他社に浮気をします。これはリピート客になりにくいという事を意味します。リピートの少ない企業や店は、新規顧客の開拓コストだけが高くついて儲かりません。

 

最後に、(3)商品・サービスの価値が下がります。正確に言えば、価値が低い商品・サービスであるかのようにお客様の目には映ります。売る側が自信を持って勧めてないのですから。

 

できるだけ高く売ろうと考える

 

商品やサービスを高く売るには、機能、品質、付属サービス、イメージなどに個性を持たせて他社商品と差別化する必要がありますが、その前に重要な事があります。

 

それは、「良い商品やサービスなのだから高く売ろう」という想い(自信)です。売る側が商品やサービスの価値を正しく自己評価する事が最も大切なのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007 年3 月号掲載)

 

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