ヒント(25) 価格設定の優劣が明暗を分ける

商品やサービスの価格設定はいつでも悩ましいもので、つい安く売りたくなる誘惑に駆られますが、必要以上に安くし過ぎると自分の首を絞める事になります。そうかと言って、価格が高過ぎても売れないのも事実です。そこで、今回も価格設定の考え方について考えたいと思います。

 

安さだけでは差別化は難しい

 

お客様に自社の商品を買ってもらうには、他社商品と差別化する事が必要です。この『差別化』については、『他社と差別化をする』取り組みと『他社の差別化を防ぐ』取り組みとがあります。

 

他社との差別化を考える際に一番手っ取り早いのは、他社よりも安くする事です。しかし、簡単なるが故に、他社も『差別化つぶし』をしてきます。価格追随をしてくるのです。

 

よって、価格を安くするだけでは売り上げを増やす効果は続きません。利幅が少なくなった分、経営が苦しくなるだけです。

 

安く売っても儲かる場合

 

ただ、世の中には商品を安く売って儲けている企業が多いのも事実です。しかし、それには理由があるのです。

 

その理由とは『仕組み』です。安く売っても儲かる仕組み、それも容易には真似できない仕組みがあれば、安く売っても高い利益率が保てます。また安い分、売り上げは増えるでしょう。

 

代表的なものは次の三つです。

 

(1)他社よりも原価を安くできる仕組み
(2)他社よりも固定費を安くできる仕組み
(3)お客様を囲い込める仕組み

 

(1)原価が安くなるのは、大量購買によって仕入単価が落とせる場合、海外など独自の仕入ルートがある場合、安く製造加工できるノウハウがある場合、などです。

 

(2)固定費が安くなるのは、ローコストオペレーションが確立されて人件費などが削減出来る場合などです。

 

(3)お客様を囲い込めば、その後の継続的な購買によって粗利益が稼げます。例えば、プリンター本体は粗利益率が低いですが、消耗品であるインクは粗利益率が高いので、合計すると儲かります。

 

これらの仕組みがしっかりと構築できているのであれば、安く売って儲ける事は可能です。

 

逆に、安く売っても儲かる仕組みの無い企業は安く売ってはいけないのです。

 

価格を決める基準は何か

 

適正な価格設定を考える際、何を基準にすれば良いのでしょうか。この『基準』には三つの考え方があります。

 

(1)コスト志向・・・自社基準
(2)需要志向・・・・お客様基準
(3)競争志向・・・・競合他社基準

 

まずは、(1)コスト志向です。商品原価と単位あたりの販管費を積算した上でマージンを載せて売価とする考え方で、非常に分かりやすい価格設定方式です。

 

ただ、コストの積算過程で、販管費が抜けていたり、減価償却費が抜けていたりする企業も中にはあります。コストを間違って安く見積らないよう注意が必要です。

 

また、コスト志向だけで考えた場合、お客様の価格感覚と大きくズレる可能性があります。そこで、(2)需要志向の考え方を取り入れます。

 

需要志向とは、お客様が適切と感じる価格を調べて価格設定をする考え方です。適正価格の調査方法には、アンケート調査、ライフスタイル調査や予算調査などがあります。

 

更に、(3)競争志向の考え方を取り入れます。他社の販売価格を参考にして価格設定をします。

 

通常は、コスト志向、需要志向、競争志向の3つの考え方をバランスよく取り入れながら適正価格を探っていきます。その際、自社、お客様、競合他社のそれぞれに対する理解の深さが重要です。

 

価格を決めるのはこちら

 

大手企業と取引をする場合、価格が相手の言い値で決まっているケースが多々あります。相手の言い値を無条件に飲んでしまうと、自社にとって一方的に不利な取引になってしまう可能性があります。

 

現在は商品を買う側の力が強いので、その気持ちは分かりますが、価格設定に受動的であってはビジネスの主導権を握る事はできません。

 

まずは「自社の商品をこの価格で売りたい」という想いが大切です。そこから、商品力の向上意欲や、提案・交渉への取り組み姿勢が生まれてくるのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007 年4 月号掲載)

 

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