ヒント(27) 販路が無いと商品は流れない

独自の技術で良い商品を開発しておきながら、中々売れずに困っている企業を時々目にします。そういった企業は、大抵、販路に問題があります。自社商品を流通させる販路が無いか、有っても弱いのです。

 

基本的にモノ、即ち、商品は、作る場所(生産地)と買う場所(消費地)が異なります。作った商品が売れるには、購買者が買う場所まで流す『販路』が必要です。

 

新規事業の立上げの話は、あちらこちらで耳にしますが、販路の事を何も考えて無いケースが少なくありません。いくら宣伝しようと、新聞記事に取り上げられようと、販路が無ければ商品は殆ど売れません。

 

また、道路が勝手に出来ないのと同じで、販路は自然には出来ません。自分で作り上げなければならないものです。

 

出会いの場は増えている

 

自社と最終購買者との間を繋ぐのは、卸売業者や小売業者です。商社や代理店を通す業種もあります。

 

これらを販路として開拓し、うまく付き合っていく事が大切です。現在は昔とは違い、販路候補となる企業にアプローチをする手段は格段に増えています。

 

中堅以上の企業は、ほぼ例外なく自社のウェブサイトを持っていますので、そちらから商談を持ちかける事ができます。

 

専門誌や業界紙も増えています。新規性の強い商品であれば記事として紹介してもらえますし、代理店募集の広告を打つにしても、部数が少ない分、大手メディアよりも割安です。そうやって、相手先企業から引き合いが来るのを仕掛ける方法もあります。

 

更に、企業のマッチングイベントもあります。ベンチャープラザやベンチャーフェアなどのイベントに参加して、全国のバイヤーの前でブレゼンをしたり、展示会に出展して商談をしたりする機会もあります。最近では、金融機関も顧客サービスの為に、マッチングを目的とした異業種交流会を開催しています。

 

その気になりさえすれば、販路開拓の活動はいくらでもできるのです。

 

販路を構築するには力が必要

 

ただ、そうは言っても、最近は売る側が買う側よりも強く、価格を叩かれたり、負担の大きい要求をされたりする事が少なくありません。規模の違いによる力の差もあるでしょう。

 

他に代わりがいるかどうか、という立場の違いも交渉力に影響します。販路が一本しかないという状態は、基本的には避けるべきです。

 

販路開拓で大切なのは、自分が主導権を握る事です。その為には自社が『力』を持つよう努力しなければなりません。

 

企業間取引における『力』には種類があります。まずは、大きな企業が持つ『報酬』と『制裁』、いわゆる、アメとムチの力があります。

 

しかし『力』はそれだけではありません。大義名分が持つ『正当性』の力もあります。「この企業とは付き合っておいた方がうちも伸びる」と思わせる『同一性』の力もあります。

 

そして、環境変化が激しい今日において、重要性を増しているのは『情報』の力です。専門知識やノウハウ、先見性や問題解決力などは、どの企業も必要としています。そういった情報をしっかりと提供できる企業はあまり多くはありません。その希少性が力を生み出します。

 

販路が開拓できないと嘆く前に

 

他の企業から相手にされず、中々販路が開拓できないという企業は、自社が大手企業と対等に付き合うに値する企業なのかどうかを反省しなければなりません。

 

規模の違いは本質的な問題ではありません。どちらかと言えば、業務体制の弱さの方が問題です。

 

商品自体に魅力がある事は勿論ですが、商品の品質や納期の安定性も大切です。季節によってバラつきが出るのは仕方ないと勝手に妥協していないでしょうか?

 

問い合わせへの対応スピードや業務の確実性はどうでしょうか?販路先に対する情報開示や販売支援は十分でしょうか?需要予測はしっかりとできているでしょうか?

 

何よりも、『売る』という、企業にとって最も大切な事を、取引先に頼り切って思考停止していないでしょうか?これでは、足元を見られるのは自業自得です。

 

勿論、資金には限りがありますので、出来る事と出来ない事とがあります。しかし、それは取引先に対しては言い訳にはなりません。資金が無い中で知恵を絞って努力していくのが、経営というものです。

 

販路開拓は、経営管理能力がシビアに問われる活動である事をご理解頂きたいと思います。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007 年6 月号掲載)

 

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