ヒント(28) インターネット直販の良し悪し

商品の流通経路を考えるにあたって、よく話題になるのが『直販』です。従来は、商品を販売するには、卸業者や商社、代理店の力を借りるのが普通でした。しかし、最近ではインターネットの普及によって、商品を消費者に直接販売(直販)するという選択肢が取りやすくなりました。

 

そこで今回は、直販、特にインターネットを活用した直販について考えてみたいと思います。

 

これだけある直販のメリット

 

商品を直販する最大のメリットは、何と言っても(1)粗利益の高さです。自社と消費者との間に入る会社が何社もあると、多くの中間マージンが取られていきます。業種や企業規模によっても違いますが、卸業者は1割から2割、小売業者では3割から4割のマージンを求めてくるのが普通です。

 

直販だとこれらが全て自社の利益に上乗せされます。直販にすると損益分岐点となる販売数量が少なくて済みます。

 

直販のメリットはそれだけではありません。商品の代金を消費者から直接回収できますので(2)資金繰りが好転します。大雑把に言えば、掛販売と現金販売の違いです。

 

また、直販では業者が間に入りませんので、(3)消費者の声を直接収集できるという大きなメリットがあります。次世代の新商品を開発したり、商品改良、付加サービス改善などを検討したりするには、消費者ニーズをよく知らねばなりませんが、消費者から直接聞くのと、間に入っている業者から間接的に聞くのとでは、情報の精度が全く異なります。

 

そして最後に、(4)事業展開の速さも挙げておきます。商品の投入やバージョンアップ、撤収は、間に業者が入ると時間が掛かります。意思疎通の問題と流通在庫の問題があるからです。近年は、消費者ニーズの変化や競合他社の動きが速くなってきていますので、事業展開のスピードは非常に大切なポイントです。

 

こういったように、商品の直販には大きなメリットがあります。

 

直販にはデメリットもある

 

ここまでは良い事ばかり書いてきましたが、直販にはデメリットもあります。

 

一番の問題は、(1)集客コストが膨大である事です。消費者に商品コンセプトどころか、自社の存在さえ、知ってもらうのは並大抵のことではありません。

 

宣伝広告や人的営業に掛かる経費は決して少なくはありません。しかし、それを出し惜しみしていては、知名度は中々上がりません。多くの企業が、こういった事を見落としています。

 

また、販売に付随する(2)サービスの人的コストも掛かります。特定の業者を相手にするのと、不特定多数の消費者を相手にするのとでは勝手が全く異なります。消費者からの問い合わせやクレームに対応する体制が出来ていない状態で直販に手を出すと、痛い目に遭います。

 

更に、これは直販だけに限った話ではありませんが、(3)既存の流通業者との軋轢も考慮しておかねばなりません。先方にとっては『中抜き』になるからです。

 

直販を検討する場合は、その功罪をよく知った上で取り組む必要があります。

 

インターネットを味方にできるか

 

最近では、インターネットを使った商品販売を手がける企業が増えてきました。

 

インターネットには距離の制約がありませんので、商品力があれば、市場が全国に広がります。営業時間も24時間です。また、消費地に店舗展開するのに比べて、初期投資も低額で済みます。

 

このように、インターネットは強力な武器である一方、留意点もあります。

 

第1に、高度なマーケティング能力が要求されるという事です。単にネットショップを立ち上げただけでは、商品はほとんど売れません。検索エンジン対策(SEO)をすれば、多くの人の目にはつきますが、訪問者が買いたいと思わなければ、ただ通り過ぎていくだけです。

 

販売対象(誰に売るか)を明確にし、お客様の事を深く知った上で、欲しいと思わせる商品を扱い、伝わりやすいメッセージを発信する。そういった営業努力の根幹はインターネット販売でも変わりません。

 

第2に、経営者がしっかりと旗を振るべきです。ネットショップの構築や運営を、『ITに詳しい社員』に任せ切りにしていないでしょうか?ネットショップも店舗です。店の売上は店長で決まりますが人選は適切でしょうか?また、広告宣伝に予算を充てたり、事業モデルをしっかりと構築したりしているでしょうか?

 

営業活動に対する姿勢が問われてくるのが『直販』です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007 年7 月号掲載)

 

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