ヒント(29) 企業間連携がもたらす利益

人・物・金の経営資源が限られた中小企業は、自社だけの力で事業を展開するには無理があります。そこで最近では、取引業者も巻き込んでパートナーシップを形成し、外部の力も借りながら全体的に事業を展開する『企業間連携』が増えてきました。

 

大企業ですら、シェア争いに勝つために他社との業務提携を強力に推進しています。中小企業がこの流れから取り残されると、生き残りが厳しくなってきます。

 

今回は、企業間の連携についてお話しします。

 

向き合う関係から協力する関係へ

 

取引業者には商品や材料を発注したり、業務を委託したりしますが、基本的には、自社は買う側であり相手は売る側です。その関係には営業的要素や価格調整など、利害調整が絡んできます。簡単に言えば『対面関係』です。

 

今の時代は供給過剰ですから一般的には買う側の力が強くなります。しかし最早、買う側が売る側を押さえつける時代ではなくなってきています。

 

業界内の競争に打ち勝っていくには、自社の力だけでなく、取引業者が持つ強みも引き出しながら顧客満足を追求していかねばなりません。

 

その際、ただの取引業者ではなく、『良い取引業者』を探し出して味方に引き入れる事が大切です。通常、『良い取引業者』の数は多くはありませんので、購買力にモノを言わせようとするのはナンセンスです。いきおい、関係は担当になります。

 

また、味方に引き入れるという事は、駆け引きをしない、という事です。一方が得をすれば他方が損をするというゼロサムの関係ではなく、双方が得をするような関係が重要です。

 

という事は、自社と取引業者が向き合うのではなく、同じ方向を向くという事です。視線が180度異なります。

 

連携とは何を指すのか

 

複数の企業が連携する、といった場合は、それらの企業が協力しながら一つの事業活動を行うことを指します。『協力する』と言っても抽象的ですので、もう少し具体的に言えば、事業活動の①目的を共有するという事です。更には、目的を達成するまでの②計画を共有するという事です。そして、計画を実行する過程において、③リスクと利益を共有するという事です。これらを満たすのが、『連携』です。

 

(1)目的の共有

 

自社だけが儲かれば良い、というのは連携にはなりません。それだと相手からの積極的な協力は期待できません。他の企業と連携するには、共通の目的が不可欠で、そこから一体感が生まれてきます。

 

例えば、サプライチェーンマネジメントであれば、「流通経路全体の在庫削減と欠品防止」いう共通目的があります。また、「新商品の共同開発」を目的とした連携もあります。とにかく、何の為に手を結ぶのかが明確でないと、協力関係は築けません。

 

(2)計画の共有

 

よく「情報共有が大切だ」と言われますが、中でも、事業計画の共有は非常に重要です。目的を達成するまでのロードマップやタイムスケジュール、そして、各社の役割分担が明確になっていなければ、「木を見て森を見ない」連携になってしまいます。それでは長続きしません。事業計画を明文化し各社で共有する事が大切です。

 

もちろん、計画の進捗状況の確認も欠かせません。

 

(3)リスクと利益の共有

 

どんな事業でも、必ず不確定要素(リスク)があります。それを互いに共有し、共に乗り越えていく姿勢が、相互の結びつきを強めます。また、事業活動の結果として得られた利益を公平に分配すべきなのは言うまでもありません。

 

相手の選び方が重要

 

連携と言っても弱者連合では競争に勝てません。互いの強みが活かしあえるような連携である必要があります。

 

そう考えると、付き合う企業の選定はとても大切です。これに手間暇を惜しむべきではありません。人材採用と同じです。

 

また、自社が他社からパートナーとして声がかかる企業になることも大切です。特に組織体制や業務のレベルが問われてきます。

 

企業間連携はやるべき事が多くて何かと大変ですが、やればそれだけの結果がついてきます。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007 年8 月号掲載)

 

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