ヒント(32) 記事紹介の利点と落とし穴

販売促進において、広告と並んで有力な告知手段が『パブリシティ』です。パブリシティとは、テレビ、新聞、雑誌などのメディアでニュースまたは記事として取り上げてもらう事によって、商品を広く認知してもらう販売促進活動を指します。

 

今回は、このパブリシティについて考えてみたいと思います。

 

パブリシティの大きな効果

 

通常の広告と比較すると、パブリシティには『信用力』と『コスト』の二つにおいて大きな利点があります。

 

まず、パブリシティは、メディアが企業や商品を紹介する形をとりますので、客観性が高く、見る側は安心して読んでくれます。新聞やテレビで取り上げられる事を『お墨付き』のように受け取る人は多いため、宣伝効果は大きいといえるでしょう。

 

また、広告には多額の投資が必要なのに対して、パブリシティが無料なのも大きな魅力です。よって、大きな広告をうつだけの資金力のない企業であっても商品を世に告知することができます。

 

メディアに取り上げられた事をきっかけとして商品の売上が大きく伸びた企業は少なくありません。パブリシティは、強力なPR手段だといえます。

 

どうすれば取り上げられるか

 

メディアに自社の商品を取り上げてもらうには『話題性』が必要です。テレビや新聞は、何もその商品を好きだから紹介しているのではありません。視聴者または購読者への情報提供としてやっています。よって、見る人の関心を惹く要素が無ければなりません。

 

その為に必要なのは『新しさ』です。『全国初』『沖縄初』といったものでないと経済ニュースとしての話題性はありません。また、関心を惹く為の『目玉』も必要です。

 

こういった要素があれば、記事として取り扱ってもらう候補になれます。そこで、パブリシティの実行に移りますが、ここで必要なのが『プレスリリース』です。

 

本当にインパクトのある商品であれば、実物を見てもらうだけで記事にしてもらえる事もありますが、必ずしもそうではありません。

 

まず、商品の特徴を記者に理解してもらう必要がありますが、口頭説明だけだとなかなかうまく伝わりません。また、文章にするのが大変だと思われると門前払いになります。こういった事を避ける為、紹介して欲しい内容を文章で表わす必要があります。これが『プレスリリース』です。

 

プレスリリースはタイトル(キャッチフレーズ)と本文で構成されます。要するに記事の原案をこちらで作成する訳ですが、読む側(記者)の関心を惹く内容で、かつ、分かりやすい文章でなければなりません。

 

その為には、伝えたい事を箇条書きで抜き出してから作文すると良いでしょう。この点は、広告の作成と似ています。

 

プレスリリースを作成したら、後はメディアにアプローチすればOKです。メディアとの接点がない場合は、公的支援機関や金融機関がテレビ局や新聞社に繋いでくれる事もあります。その意味では、公的支援機関や金融機関との関係を普段から良好にしておく事も大切です。

 

いくつかある注意点

 

パブリシティには利点だけでなく欠点もあります。必ずしも取り上げられる保証が無いのは勿論ですが、正しく紹介してくれるとも限りません。掲載タイミングも思い通りにならない可能性があります。メディア側の都合で紹介しているだけですので当然と言えば当然ですが、自社でコントロールできないのが欠点です。

 

また、パブリシティの限界も知っておかねばなりません。記事として取り上げられると問い合わせは増えますが、それをクロージングして販売に繋げていかないと一過性で終わってしまいます。パブリシティは販売の入口であって、出口ではないのです。テレビや新聞で紹介されただけで安心して販促の手を緩めてしまうと、折角の売上のチャンスを逃してしまいます。

 

パブリシティのやり過ぎにも注意が必要です。何度も紹介されていると名誉心がくすぐられますので、既存商品で利益を出す事よりも、新商品のリリースで話題に上る事に気持ちが行きがちになります。そうやって自分の事業を見失ってしまうと、「有名だけど経営は苦しい」という状態に陥ります。

 

ビジネスに万能な方法はありません。何事も長短踏まえて取り組む必要があります。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2007年11月号掲載)

 

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