ヒント(35) 販促ツールを武器にする

人間は生物界の頂点に立っていますが、それを可能にしたのは『道具』の存在です。人間は道具を生み出し、道具を使いこなす事によって、弱肉強食の自然界において競争力をつけ、生き残ってきました。そして、道具によって社会の仕組みを作り上げてきました。

 

ビジネスの世界でも『道具』は大切です。『ツール』とも言いますが、道具を如何に使いこなすかによって、勝敗が分かれてきます。今回は、ツールの中でも『販促ツール』について考えます。

 

道具によって仕組みを作る

 

販促ツールを使うのは売り上げを増やす為ですが、なぜ販促ツールによって売り上げが増えるのかを理解しておかないと使いこなす事ができません。

 

そもそも、道具の価値は道具自体にある訳ではありません。道具を使う事によって、新しい仕組みが出来る事に価値があります。蒸気機関自体は大した道具ではありません。しかし、蒸気機関によって産業革命が起きました。単なる通信道具に過ぎない携帯電話が、ビジネスの仕組みを大きく変えたのは、ご経験されている通りです。

 

販促ツールも、自社のビジネスの仕組みを構築することに存在目的があります。すなわち、商品やサービスのセールスポイントを整理し、営業マンや店員の営業手法を標準化し、お客様を商品認知から購買まで誘導する動線を作り上げるうえで重要な働きをするのが販売ツールなのです。

 

販促ツールの目的

 

ビジネスの仕組みを考えるのは大変です。基本的には抽象論ですから、間違っていても気づきにくいですし、複数の人間で協議するにもまとまりにくい側面を持ちます。よく思考の対象には『コト』と『モノ』があると言われますが、『コト』である『仕組み』は正しく考えるのが難しいのです。その時、『モノ』である『販促ツール』も同時に検討する事によって、考えや議論が具体化されます。販促ツールは『思考ツール』でもあります。

 

また、販促ツールがあれば、営業マンや店員の営業手法がある程度統一されますので、教育やサービス品質向上がやりやすくなります。つまり、販促ツールは、『社内コミュニケーションツール』でもあるという事です。

 

勿論、販促そのものにも威力を発揮します。人間が得る情報の7割以上は視覚を通してです。営業マンや店員の説明を耳で聞く(聴覚)だけよりも、より多くの情報をお客様に伝える事ができます。

 

販促ツールの設計

 

販促ツールの見た目を奇麗にするのは業者に頼めばやってくれます。しかし、見た目が良くても内容が悪ければ、販促ツールとしての役目は果たせません。

 

販促ツールは、営業上の何らかの目的を果たす手段ですから、その目的が果たせるよう、しっかりと『設計』をすべきです。

 

その際に重要なのは、「誰に何を伝え、その結果、どうして貰いたいのか」という視点です。具体的には次の3点です。

 

(1)対象(どんな人に見せるか)
(2)内容(何を伝えるか)
(3)行動(何をしてもらうか)

 

(1)の『対象』は最も重要です。販売ターゲットの設定を間違うと販促ツールが死にます。アンチエイジング商品を小学生に勧めても無駄です。ここまで極端でなくても、対象の設定がずれると、伝えるべきメッセージとのミスマッチが生じます。

 

(2)の『内容』としては、販売ターゲットの関心を惹くキャッチフレーズとセールスポイント(大抵は3つ)を骨格とします。これらの言葉(メッセージ)は洗練されている必要があります。また、その過程でお客様ニーズを深耕するのです。それができれば、あとは肉づけです。

 

(3)の『行動』は、お客様を次にどこに誘導するのか、という事です。問い合わせをしてもらうのか、注文してもらうのか、営業マンに前向きな質問をしてもらうのか、心配事を解消して見積依頼を出してもらうのか、といった事です。この設定の仕方によって販促ツールの内容が違ってきます。あくまで、売り上げに至る販売プロセスの途中で見せるものですので、『次』を考えておかねばなりません。

 

販促ツールをただの道具と甘く見てはいけません。そこには自社の販売戦略が凝縮されているのです。ただ何となく作ればいいというものではないのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2008年2月号掲載)

 

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