ヒント(42) 利益の可視化が利益を生む

厳しい経営環境の中で高い収益を上げている企業の経営者には、ある共通点があります。それは数字に強いという事です。反対に、業績が厳しい企業では、経営者が数字に弱く放漫経営になっている事が少なくありません。

 

経営に必要な管理とは、人の管理ではなく仕事の管理です。そして仕事の管理とは数字の管理の事です。企業は数字によって売り上げを管理し、コストを管理し、品質や生産性を管理します。経営判断も数字に基づいて行います。

 

数字が曖昧だと経営判断や経営管理がいい加減になる為、どうしても業績が落ち込みます。

 

経営者たるもの、数字に強くなければ務まらないという事を、まずご理解頂きたいと思います。

 

いくら稼いでいるのかを知る

 

経営者の中には、売上高は把握しているが利益額は大雑把にしか管理していない、という方が少なくありません。売上高に利益率を掛けて粗利益をざっくりと計算する位はやっているとは思いますが、先月の経常利益額は把握できているでしょうか。

 

そして、経営者が利益額を知っていても、各部門の責任者が自部門の利益額を知っているでしょうか。また、末端の従業員の皆さんは知っているでしょうか。

 

世の中のものは求めるからこそ得られます。利益も同じです。利益を求め、様々な経営努力をするから儲かるのです。利益額を把握していない、もしくは、把握している人が少ない、というのは利益に関心がないからです。

 

関心がない、即ち、求めていないものが得られる道理がありません。利益額を把握しないのは、儲ける事を半分放棄しているのと同じです。

 

利益への貢献度が分かれば頑張れる

 

従業員にやる気が見られない、という相談をよく受けます。やる気がない要因は色々とあるでしょう。ただ、人の意欲を高めるには最低限、「自分はどこまで頑張ればいいのか」の『目標』と「自分はどれ位成果を出せているのか」の『貢献度』を本人に示してやる必要があります。

 

これを客観的に示すには数字が必要です。そして、数字を用いた指標として最も分かりやすいのが利益額です。

 

企業は利益を出さないと回っていかない事は社会人であれば誰でも分かります。あとは「どれだけ会社の利益に貢献できているのか」を従業員に金額で示すことです。そして同時に、「受け取っている給与額に対し、どれだけの利益を出すべきなのか」を目標として示すのです。

 

そうすると、従来は何となく仕事をしてきた人も、自分の仕事のやり方を見直して頑張るようになります。

 

なお、利益の見せ方ですが、個人単位の利益だけだと個人主義に走る可能性がありますので、個人単位の利益だけでなく、チームとしての利益も示し、両方を意識して貰うようにするのがいいでしょう。

 

利益とは何かを定義する

 

ここまで『利益』という言葉を何の説明もなく使ってきましたが、利益と一口に言っても、粗利益、営業利益、経常利益、税引後利益など色々あります。

 

経営レベルでは当然、全てを意識する訳ですが、従業員一丸となって頑張る指標としての『利益』は一つか二つに絞るべきです。そして、『利益とは何か』を定義しなければなりません。

 

会計には制度会計と管理会計とがあります。制度会計は、会社法や税法、企業会計原則など、法令で規定されている会計です。これは株主や債権者、税務署などに説明する為の会計で、決算書はこれに基づいて作成されます。制度会計はあくまで説明が目的ですので、利益を管理する(作る)為の会計としては不十分です。

 

これに対し、管理会計は社内で利益を管理する為の会計で、特に法令の規定はなく各社が自由に計算式を決められます。

 

たとえば、『得意先ごとの利益』は、粗利益から販促費、営業経費、事務経費、リベートなどを差し引いて算出すると管理しやすいのですが、制度会計にはこのような計算式はありません。しかし、管理会計では、こういった『使い勝手の良い指標』を定義し、活用できます。

 

別の例をあげれば、出来高から外注費と消耗品費を差し引いて、『作業者ごと利益』を指標として使う事もできます。

 

こういった管理指標を定義し、利益を『見える化』していく事が、収益性を高める第一歩となります。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2008年9月号掲載)

 

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