ヒント(43) 利益の捉え方で業績が分かれる

収益性の高い企業と低い企業では利益の捉え方が違います。利益は売上高からコストを差し引いた残りですが、収益性の低い企業は『売上高-コスト=利益』という見方をしています。一方で、業績が良い企業では『利益=売上高-コスト』と考えています。等号の前後が入れ替わっただけですが、両者には大きな違いがあります。

 

利益は求めるもの

 

『売上高─コスト=利益』という見方は、利益を結果と捉える考え方です。売上高からコストを差し引いた結果、これだけが残った、という視点です。

 

この考え方をする企業の業績が良くないのは、未来に目を向けないからです。

 

業績が良い企業は、『利益=売上高─コスト』と捉えることによって、未来に目を向ける、つまり利益目標を立てています。そして、売上高の目標を立てるだけでなく、コストを予算化し管理しています。だから儲かるのです。

 

目標や予算がなくても儲かることはあります。しかしそれは『たまたま儲かった』にすぎません。追い風だのみの一時的な好業績はいつまでも続きません。

 

利益を求める努力をしてこそ、長きに渡って利益が得られるのです。

 

実態を知ることが大切

 

利益目標を立てれば、その結果が気になります。それを知る為の資料の一つが月次試算表です。

 

ところで、あなたの会社では月次試算表が出来るのはいつでしょうか?

 

1カ月以上遅れるようでは話になりません。丼勘定の放漫経営ですから、恐らく業績が悪いか、良くても一時的でしょう。

 

支払いの請求書を締めた後の翌月15日前後という企業が多いとは思います。しかし、15日遅れの月次試算表を見て、どんな経営判断ができるのでしょうか?

 

あまり意識していないかも知れませんが、情報には『鮮度』があります。生鮮品と同じく、情報も古いと腐ってきます。必要なのは、『今』の情報なのです。

 

基本的に、損益資料は翌月2日以内、待っても翌月5日までです。それ以降は情報の賞味期限が切れています。

 

しかし、支払いの請求書が締まらないのに、どうやって2日で月次損益を作成するのでしょうか?

 

利益を作るのは経理ではない

 

確かに、経理担当者に月次試算表を2日で作れと言うと無理と言うでしょう。

 

しかし、これは金額の正しい月次試算表を作成する場合の話です。経理の仕事は正確な数字を出すことです。確かに、正確な数字を2日で作成するのは不可能です。

 

ここで大切なのは、経理は利益を作るのが仕事ではない、という事です。利益を作るのは経営者であり、経営者から現場の管理を預かった管理職です。

 

利益を作る立場の人は、正確な数字を遅れて受け取っても仕方がありません。大まかであっても数字をリアルタイムで把握してこそ、適切な判断ができるのです。

 

話をまとめると、経理が出すのは『正確な数字』、経営者が知る必要があるのは『今の数字』です。両者は意味が違います。

 

結論を言えば、月次損益の速報を2日以内で出せばいいのです。

 

昔はこれが中々できませんでした。しかし、今はITを活用すれば簡単にできます。経営者にその気があれば、ですが。

 

経営者と幹部が数字を覚えておく

 

企業がどれだけ利益を把握できているかを知る指標に、「幹部クラスが毎月の利益額をどれだけ覚えているか」があります。

 

幹部が利益の目標達成度、前月比、前年同月比も含めて、利益推移の動向まで頭に入っていれば優秀です。先月の利益額だけでも覚えていれば、何とか合格です。

 

しかし、資料を見ないと数字が分からないようでは駄目です。数字を覚えていないのは関心がないからです。利益の数字、すなわち、売上高とコストの数字に関心が無いのは、利益を作る責任を放棄しているのと同じです。方程式が『売上高-コスト=利益』になっているのです。

 

『利益=売上高-コスト』と考える企業では、幹部クラスが利益目標を達成する責任を負っています。だからその責任を果たすために経理担当者の資料だけに頼らず自分で数字を把握します。そして売上高を増やす為、また、コストを削減する為の手を素早く打ちます。

 

こういった日常の経営努力を続けているから業績が良いのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2008年10月号掲載)

 

一覧表に戻る