ヒント(47) 危機感を経営改革に昇華させる

不況時は経営が厳しくなる企業が多くなりますが、不況も決して悪いことばかりではありません。

 

周囲が厳しい時期は、社内に危機感を持たせる事ができ、今まではできなかった経営改革を実施するチャンスです。また、業界構造も変化しますので、今までに食い込めなかった分野や客層を開拓する機会でもあります。

 

実際、世の中を変えるイノベーションの多くは不況期に生まれています。

 

苦しいのは不況が悪いのか

 

不況時にまず振り返りが必要なのは、好況時に得られていた収益は自社の実力によるものだったかどうかです。本当に、人材が豊富で組織体制も強固、そして商品力があり価格が適正であるならば、不況であっても販売はそう大きく落ち込むものではありません。現在、売上高が大きく落ちている企業は、本来の自社の実力以外の部分で受注や販売を稼いでいただけではないでしょうか。

 

勿論、業種によっては波が大きくてどうしようもない場合もあります。しかし、不況をどれだけ恨んでも不況自体はどうにもなりません。好況時のうちに不況に備えて経営の多角化や内部留保の確保をしなかった事こそ、悔いるべきでしょう。そして、いま最も大切な事は、経営改革を成し遂げる事です。

 

経営の厳しい企業は「経営環境が悪い」と言って社会や政治のせいにして何もしません。しかし、今後伸びる企業は「タイミングが悪い」と、着々と足固めをしながら景気が底打つのを待っています。

 

同じ「悪い」でも両者の差は、決して小さくはありません。

 

幹部層にメスを入れる

 

経営改革をするうえで、最初に検討すべきなのは『誰をバスに乗せるのか』という事です。こういう時期は、『今は変化するチャンスだ』と前向きな考えを持つ人と、『業界全体が厳しいから何をやっても無駄だ』と後ろ向きな人に分かれます。

 

結論を言えば、後ろ向きな人は幹部としては不適格です。こういった類の人は、組織の勢いを削ぐだけですから、前向きな後輩と入れ替える事も考えた方がいいでしょう。また、他人任せで様子見を気取っている人も同様です。

 

腐ったミカンを箱に入れておくと、他のミカンも腐ってきます。組織の上層部が腐っていると、末端の従業員も腐ってきます。今は腐ったミカンを取り除くべき時期が来ているのです。

 

経営改革は幹部層の見直しから始まります。今までの情がよぎるかも知れませんが、情は判断を狂わせます。経営者の決断に会社の未来と従業員の将来がかかっている事を自覚し、入れ替える時はキッパリと入れ替えて下さい。

 

給与体系の見直しをする

 

幹部の体制を見直したら、次は給与や賞与の体系が会社への貢献度に沿ったものかどうかを再検討します。会社への貢献度と給与・賞与の金額が逆転していると、従業員はやる気を失います。

 

また、賞与は給与とは異なり、従業員の当然の権利ではありません。賞与はあくまで、会社が得た利益を分配するものですから、会社が赤字なら賞与もゼロです。

 

中小企業の経営者は、好況時はあまり深く考えずに『はぶりの良い』給与体系を作ってしまいがちです。それが残っていないでしょうか。

 

従業員の立場では、自分の年収が下がることは大きな不満要素です。だからこそ、経営環境の厳しさを従業員に理解してもらえる今が給与体系を見直す数少ないチャンスなのです。

 

危機感を向上心に変える

 

不況でも人材育成の重要性は変わりません。そのうえ、人員配置を仕事の少ない部門から仕事のある部門にシフトしなければなりません。そうすると、従業員には一人何役もこなせるマルチプレイヤー(多能工)になって貰う必要があります。

 

当然ながら本人には新しい仕事を覚えて貰わねばならず、負担も大きいでしょう。しかし、仕事が無くなる危機感を向上心に変えて頑張れば出来なくはありません。

 

また、管理職は管理職でマネジメントの手法を身に着け、成果を出せるチームづくりをして貰わねばなりません。この原動力になるのも危機感です。

 

伸びる人は厳しい時にこそ成長するのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2009年2月号掲載)

 

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