ヒント(49) 頼もしい管理職が会社を強くする

経営者の仕事のうち特に重要な事の一つに、組織体制の構築が挙げられます。企業は経営者の個人プレーではいけません。現場で動く従業員、業務をまとめる管理職、経営の責任を負う経営者がうまく役割分担して成り立つのが企業というものです。

 

組織体制の強弱を考えた場合、最も大切なのは経営陣の体制です。経営者に経営能力が無かったり、役員達の考えが一致せず方針が揺れ動いたりすると、企業は弱体化します。まずは経営者自身です。

 

次に大切なのは管理職の動きです。事業や業務を安心して任せられる管理職が何人いるのかによって、企業がどこまで大きくなれるかが大体決まります。

 

経営者は管理職の育成に、相当のエネルギーを費やすべきです。自分が何をすべきかが分かっていない管理職には、それを教えなければなりません。

 

自部門の方針を示してもらう

 

従業員が上司から指示された通りにしか動かない、受け身の姿勢がしみ込んでいる企業は伸びません。いちいち細かな指示を出さなくても自分で物事を考えて自発的に行動して欲しい、と考えている経営者は多いでしょう。

 

しかし、現場業務の方針や判断基準は明確でしょうか。上司の指示が理由も示さないまま頻繁に変わる事はないでしょうか。もしそうであるならば、従業員は自発的に行動する筈がありません。無難に手堅く、叱られない程度に仕事をするでしょう。

 

経営者はまず自社の経営方針を明確に示す義務があります。その上で各部門を預かる管理職に部門方針を示させる必要があります。

 

自らが自分の立てた方針に従う

 

経営や業務における意思決定は、属人的であってはいけません。属人的だと従業員は、「何が正しい事か」よりも「誰が言った事か」の方を重視します。この状態を放置すると派閥や社内政治が発生します。

 

国家にも『法治国家』と『人治国家』とがありますが、法治国家では、たとえ国家元首でも、憲法や法律を破ることは許されません。そして、そういう『法』があるからこそ、国民は権力者に怯えることなく自由に生活できます。

 

企業も同じことで、経営者が常に経営理念や経営方針に基づいて意志決定を行い、管理職が常に部門方針や規定に基づいて現場業務を管理する事が組織を強くします。なぜなら、判断や指示の一貫性を肌で感じる事ができる為、安心して仕事ができるからです。

 

部門方針やルールの作り方

 

部門方針は経営方針を掘り下げる形で策定します。よって、先に経営方針を示す必要があります。経営方針が不明確なままで部門方針を立てても、各部門で内容が不揃いになり、全体として整合性が取れなります。まずは全体、次に部分です。

 

そして、方針を立てる際は、「何が重要か」という原則を明確に示すべきです。業務の規定や手順といった『ルール』は、経営方針や部門方針に則って策定しますが、方針が抽象的で中身が薄いと、ルールを細かく作りこまないと業務が標準化できません。細かすぎるルールは現場を縛り、自発的な活動を阻害します。

 

業務品質を高めるには、ルールが無ければなりません。誰もが守るべき規定や手順があってこそ、業務レベルは安定します。しかし、業務の方針を明確にする事によりルールの数を必要最小限に留める努力も大切です。

 

そうした努力をしたうえで、管理職はルールを部下に順守させ、また、部門内のルールが現状に合わないのであればルールを随時改正していきます。

 

管理職が経営幹部になるには

 

管理職とは自部門の業務遂行に責任を負う者であり、そのままでは経営幹部とイコールではない事に注意が必要です。

 

ある管理職が経営幹部と言えるかどうかを測るキーワードは『経営参画』と『全体最適』の二つです。

 

経営幹部は、部門責任者であると同時に会社全体の業績に強い関心を持ち、経営上の方針策定や意思決定に参画する人を言います。また、自部門の事だけを考えるのではなく、部門間の調整を積極的に行い、会社全体の為には自部門の不利益も進んで享受する人を言います。

 

管理職に経営幹部の自覚を強く持ってもらってこそ、経営者を支えられる存在になります。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2009年4月号掲載)

 

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