ヒント(53) 組織に必要な三つの要素

中小企業はとかく組織体制が弱いと言われますが、『組織』とは一体何を指すのでしょうか?

 

組織論では、『共通目的』『分業』『権威の階層』の3つの要素を持つ集まりを組織としています。

 

要素(1) 共通目的

 

まず、組織には構成員全員に共通した目的が必要です。

 

一般的に『目的』と言った場合は、『存在目的』(何の為に存在しているのか)と『行動目的』(何の為に行動しているのか)とがあります。

 

会社組織の『存在目的』とは経営理念です。また、『行動目的』とは経営目標や経営ビジョンです。

 

経営理念や経営目標が無い企業では、各人が目の前の仕事には一生懸命でも、考えている事がバラバラでまとまりがありません。つまり、烏合の衆なのです。ここが欠けていると組織は強固にはなれません。

 

たとえ経営理念と経営目標が明文化されていても、組織文化として浸透していなければ無いのと同じです。

 

まずは『共通目的』の存在が、組織強化の第一条件なのです。

 

要素(2) 分業

 

2番目は『分業』です。組織の構成員が共通目的を見出したら、その達成に向けて行動する訳ですが、そこには役割分担が必要です。

 

野球を例に出すと、投手や捕手、内野手、外野手がいて守備をします。打者の振ったバットがボールに当たったと言っても、九人全員がボールを追いかけることはしません。ボールを追う人、中継する人、走者をさす人など、プレーヤーの役割分担が明確になっています。

 

会社組織でも全員が同じ事をするのではなく、『肩書き』『担当内容』『責任と権限』といった役割分担が明確になっている筈です。これらが不明確だと社員は自発的には動けません。烏合の衆になってしまいます。

 

なお、分業には『水平分業』と『垂直分業』とがあります。

 

『水平分業』とは、販売部門、製造部門、調達部門、総務部門など、横同士の役割分担を指します。各部門の内部は更に、係や担当などに細分化されていきます。

 

もう一つは『垂直分業』です。これは、経営と管理、判断と実行、といったように、縦同士の役割分担を指します。中小企業が個人商店から組織体へと成長するには、垂直分業が大切です。

 

個人商店というのは、経営者が判断も実行も、全て自分(と家族)でやってしまう企業をいいます。個人商店に共通するのは、人が育たないという事と後継者がいないという事です。当然、業績は一進一退して伸び悩みます。

 

要素(3) 権威の階層

 

三番目は『権威の階層』です。組織で分業化が進むと、○○担当や△△係といったものが明確になり、各自がその役割に応じた仕事をする事になります。

 

ただ、仕事の中には、自分の裁量の範囲内では処理し切れないものもあります。

 

例えば、A課のB係とC係にまたがる仕事については、B係もC係も、自分だけでは判断できません。

 

その際、B係とC係が話し合って調整しようとしても立場の違いがありますので、時間が掛かったり、解決策が出てこなかったりします。

 

よって、こういった場合は、B係とC係の共通の上司であるA課長が判断を下すのが適切、ということになります。

 

組織では異なる部署をまたがる案件を処理するには、その両方を統括する権威(上司)が必要です。

 

そして更に、A課とD課をE部長が統括し、その上にはF本部長、G社長と続くわけです。

 

このように権威が階層構造をなす状態を『権威の階層』といいます。その為、会社組織は必ずピラミッド構造になります。

 

さて、B係とC係にまたがる案件をA課長が処理しない、もしくは、両係間の調整ルールが整備されてなければどうなるでしょうか?

 

その案件は適切に処理されない事になります。そういう事が積み重なれば組織は弱体化します。

 

『統括』とは、ルール整備と判断をさします。これをしない管理職が社内にいると、そこが会社組織のアキレス腱になります。

 

あなたの会社では、根深い問題がいつまでも残っていないでしょうか?もし有るとすれば、組織体制に改革の余地があるでしょう。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2009年8月号掲載)

 

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