ヒント(55) 従業員のモチベーションを高めるには

組織として限られた人数で最大限の成果をあげるには、能力云々の前にモチベーションが高くなければなりません。どうすれば従業員のモチベーションが高まるかで頭を悩ませている経営者も多いでしょう。

 

経営学の世界でも「どうすればモチベーションが向上するか」といった研究がなされてきました。

 

実は、モチベーションには二面性があり、『やる気』と『満足』とで構成されます。

 

従業員が『やる気を起こす要因』と『不満を持たない要因』は異なるものであり、それぞれを『動機づけ要因』と『衛生要因』と呼びます。

 

(A)動機づけ要因  やる気を起こさせる要因
(B)衛生要因    不満を起こさせない要因

 

従業員のモチベーションを高めるには『動機づけ要因』と『衛生要因』の両方に配慮しなければなりません。

 

(A)動機づけ要因

 

これが満たされると、従業員はやる気を出します。動機づけ要因には次の四つがあります。

 

(A-1)仕事のやり甲斐

 

仕事の意味が分かり、自分が会社やお客様に貢献できている事を自覚すると従業員はやる気を出します。対策として、(1)作業目的の周知、(2)顧客志向の浸透、(3)経営参画意識の醸成、(4)業務方針の明確化などがあります。

 

(A-2)仕事の達成感

 

何らかの目標が達成された場合、やる気が増加します。小さな達成感を繰り返す事が勝ちぐせにつながります。対策として、(1)挑戦する風土の醸成、(2)適正な目標の設定、(3)達成度の見える化、(4)表彰などの心理的報酬などがあります。

 

(A-3)責任の増大

 

自分に与えられた責任(役割)が大きくなると、使命感からやる気を出します(役割が人を作る)。対策として、(1)役職や肩書きの付与、(2)部下や後輩の増加、(3)利益目標の設定、(4)使命や期待の伝達などがあります。

 

(A-4)自己の成長

 

従業員は自己の成長につながる仕事にはやる気を出します。その際、成長の道筋を示す事が大切です。対策として、(1)身につけるべき知識や能力の明確化、(2)キャリアパスの明確化などがあります。

 

(B)衛生要因

 

これが満たされないと、従業員が不満を募らせ離職率が高くなります。衛生要因には次の五つがあります。

 

(B-1)会社の方針

 

会社の方針が不透明であったり、自分の価値観と合わなかったりすると、会社に対する不満が起きます。対策として、(1)経営理念の浸透、(2)経営方針の明確化、(3)信賞必罰の徹底、(4)経営者の公私区別などがあります。

 

(B-2)賃金

 

従業員は賃金(給与・賞与・福利厚生)が低いと感じると会社に不満を持ちます。『低さ』には、「生活できるかどうか」「同僚や他社と比べてどうか」「自分の頑張りや貢献度と比べてどうか」といった本人なりの基準があります。不適正な賃金は改めるべきですが、財務的な負担とのバランスを取る必要があります。

 

(B-3)作業環境

 

作業条件や作業環境の悪さ、業務負荷の不公平さを感じると、従業員は会社に対して不満を持ちます。経営者や管理職が現場をよく観察し、日々改善していく姿勢が大切です。

 

(B-4)人間関係

 

従業員は、周囲との人間関係が悪いと、自分の置かれている環境に対して不満を持ちます。人間関係には対上司、対部下、対同僚、対顧客など、様々なものがあります。対策として、(1)コミュニケーションの活性化、(2)報告・連絡・相談の強化、(3)問題がある従業員の再教育または排除などがあります。

 

(B-5)雇用の安定性

 

理由が不透明な解雇を見ると、従業員は「次は自分の番かも知れない」と考えだします。また、極端な成果主義にすると精神状態が不安定になります。最低限の安定は必要です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2009年10月号掲載)

 

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