ヒント(57) 生産性の向上が利益を生む

沖縄県の中小企業は総費用のうち人件費が占める割合が大きく、労働生産性の向上が収益性を高める必須条件になっています。しかし実際は、一人あたりの給与が低い一方で、企業の人件費負担は軽くはありません。これは「従業員一人あたりの稼ぎ」が少ないから、つまり、労働生産性が低いからです。

 

労働生産性とは

 

労働生産性とは『従業員一人あたりの付加価値』のことです。付加価値とは、事業活動において生み出された『価値』を指します。具体的に言えば、社外からの収入(売上高)と社外への支払い(社外経費)との差額です。

 

例えば、100万円の仕事を受注し、材料費と外注費、その他の経費で40万円を外部に支払ったとします。この場合、差額の60万円が、従業員が生み出した付加価値になります。そして、この60万円の付加価値を『従業員の給与』と『会社の利益』に分配する訳です。

 

当然ながら、同じ付加価値であれば少人数で生み出した方が、会社に残る利益が増え、従業員一人あたりの給与も増やせる訳です。労働生産性が高いと、会社にとっても従業員にとってもメリットがあるのです。

 

付加価値額の計算方法にはいくつかの方式があります。経営革新計画における計算式では、『付加価値=営業利益+人件費+減価償却費』となります。営業利益に人件費を加えるのは、従業員は『社内』だからです。ちなみに減価償却費を加えるのは、機械も『社内』だからです。

 

なお、人件費には役員報酬も入れます。また、固定資産をリースで使用している場合は減価償却費に加えます。最近の会計ソフトでは付加価値を自動計算してくれるものも多いようです。

 

労働生産性を把握する

 

労働生産性を高めるには、労働生産性を管理指標として持っておかねばなりません。

 

会計的には先ほどの計算式で月次推移を見ていけば良いのですが、これを現場の動きに落とし込むには少し工夫が必要です。

 

各部門、できれば各個人の指標として、『一人あたり売上高』や『一日あたりの出来高』などの指標を自社なりに定義した方が、従業員にとって理解しやすく、目標設定や管理もしやすいでしょう。

 

生産性管理は時間や金額の集計が必須条件です。ならば、途中で挫折しないように最初から簡略方式で労働生産性を図る指標にしておいた方が現実的です。

 

生産性の指標を決めたら目標を設定し、達成状況を月次で把握します。これを部門別・個人別に実施し、改善すべき点は改善する。これによってPDCAサイクルが回ります。

 

生産性管理のカギは所要時間の記録です。何の作業にどれだけ時間を要しているのかを記録する事が、生産性向上のポイントです。

 

生産性の高い業務をする

 

生産性向上を経営課題に挙げると、従業員が出社してから退社するまでの八時間は『持ち時間』としての意味を持ちます。

 

そうすると、各業務の効率化を図る前に「そもそも何をするか」が問題になります。無駄な業務が無いか、同じ業務を二重でやってないか、過剰品質はないか、を確認しましょう。

 

また、機械で出来る事は機械にさせた方が生産的です。情報システムも同様です。人間は人間でしかできない事に特化するのが基本です。

 

適正人数で仕事をする

 

生産性が管理できれば適正人数が把握できます。現場の人数が多すぎると気が抜けてしまい、却って仕事の質が下がるものです。先々の業務量を先行管理し、何人でこなせるかを把握しておく事が大切です。

 

また、事業やサービスごとに生産性は違う筈です。事業ごとサービスごとの最適人数を把握し、最適な人員配置を目指してください。

 

仕事の効率化を図る

 

仕事を効率化するには、従業員各自が、作業の目標時間を設定するのが第一歩です。「この作業をこれだけの時間内に終わらせよう」という意識が無いと、効率化はできません。

 

その上で、整理整頓、スケジュール管理、作業段取り、報告連絡相談、社内コミュニケーション、道具の活用、といった取り組みによって効率化を図り、労働生産性の向上に結び付けていきましょう。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2009年12月号掲載)

 

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