ヒント(58) クレームを無くす経営管理

市場が成熟し他社との競争が激しくなると、顧客の要望にどこまで細かく応え切れるかの勝負になります。しかし、顧客の要望のレベルが高くなるにつれ、対応の難易度が上がりクレームが起きやすくなります。

 

クレームの多い企業はリピート客や紹介客が少ないため、業績が低迷します。クレームが頻発する、すなわちサービス力が低い状態で広告宣伝に力を入れても、悪い情報を広めるだけです。

 

また、クレームを口に出して言う客は氷山の一角であり、多くの客は不満を抱えたまま何も言いません。そして、競合他社がアプローチをかけたタイミングで、去っていくのです。「経営者が気付かないまま問題が深刻化して表面化した時には手遅れ」なのは病気で言えば癌と同じです。ここがクレームの怖い点です。

 

外に打って出る足場づくりの意味でも、クレームが起きない為の経営管理は重要です。

 

クレームが無くならない理由

 

クレーム撲滅には、具体的な対策を一つずつ打っていくしかありません。しかし、そもそもクレームの存在に気付かなければ、手を打つ事もありません。

 

まず、クレームの存在に従業員の誰かが気付かねばなりません。そして、それが経営陣まで報告がされねばなりません。現場がクレームを処理してそれを終わりではなく、クレームの存在が上層部に報告される仕組みが必要です。

 

また、クレームの『対応』と『対策』は分けて考えなければなりません。お客様に謝罪して問題を解決するのは『対応』です。これはこれで大切な事です。

 

しかし、経営的に重要なのは、再発防止であり予防です。二度と同じ問題が起きないよう、そして、問題を未然に防ぐよう、『対策』を立てる事こそ重要です

 

忙しいからと言って再発防止や予防の対策を立てないでいると、やがてまた、似たようなクレームが起きるでしょう。

 

クレームの発生原因

 

クレームが起きる要因には二つあります。一つは『人的要因』です。もう一つは『業務要因』です。

 

人的要因は、本人の不注意や習熟度の低さに起因する要因です。これは訓練や意識づけによって軽減できます。しかし、人間である以上、ミスや不注意は無くせません。

 

一方、業務要因は、「問題が起きやすい業務の仕組み」をいいます。これを放置すると、担当者の未熟さに悩まされる事になります。要するに誰がやっても問題が起きにくい仕組みを作る事が大事なのです。経営者が注目すべきは業務要因の方です。

 

では、『仕組み』とは何でしょうか。これは次のもので構成されます。すなわち、(1)ルール、(2)ルールを守る人、(3)ルールを守らせる人、(4)道具の4つです。クレーム対策の着眼点はルールと道具です。

 

クレームの見える化

 

見えないクレームには対処できませんので、クレームやその原因を可視化(見える化)しなければなりません。その方法はいくつか有ります。

 

まずは、業務監査です。業務をする人は自分ではなかなか問題点に気付きません。そこで、業務から独立した第三者が監査をし、クレームの原因になりそうな業務上の問題点を洗い出す取り組みが必要です。

 

また、クレームを隠しても人・物・金は動くものです。原価管理を徹底すれば、問題点が数字の異常値となって表れてきます。

 

それ以外には、顧客アンケートやクレーム報告の教育といった手法が有ります。また、喉元を過ぎれば熱さを忘れますので、クレームは必ず、記録に残さなければなりません。

 

クレームの再発防止の為に

 

クレームの本当の原因は、問題が起きやすい業務の仕組みにあります。それには四通りのレベルがあります。

 

(1)ルールが無い
(2)ルールは有るが不適切
(3)ルールは適切だが不徹底
(4)単なる本人の能力不足 (ルールには問題がない)

 

業務がルールによって標準化されてないと仕事が属人的になり、本人の意識やスキルによって仕事にバラツキが生じます。これではクレームが多発するのは当然と言えます。

 

クレーム対策には業務改善が伴います。現場任せにせず、経営者が主体となって取り組むべきです。それが長期的な利益を生みます。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2010年1月号掲載)

 

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