ヒント(61) 不況時に経営者がなすべき事

ある経営者からのご質問
不況で商品が売れません。いつ頃から景気が良くなるでしょうか。

 

<回答>
私は予言者ではありませんので景気の回復時期を責任持ってお答えする事はできません。経済アナリストなら予測できるかも知れませんが、そんな事はどうでもいい事です。

 

あなたにとって重要なのは「景気がいつ回復するか」ではなく、「今どんな経営改革をするか」です。

 

好況もあれば不況もある

 

そもそも、世の中は好況時もあれば不況時もあり、それを一定周期で繰り返しています。これを景気循環と言いますが、「好況時は左団扇、不況時には慌てふためく」というのでは本当の経営ではありません。

 

好況時にはやがて来る不況に備え、不況時にはいつか来る景気回復の機会を窺うのが経営者というものです。つまり、景気が良かろうが悪かろうが問題ないように、先手先手で対策を打っておく事が大切です。

 

経営にはどうしても長期的な視点が必要であり、それを持たない会社が苦境に陥るのは自明の理です。

 

不況時に業界構造が変わる

 

世の中が不況になると、個人であれ会社であれ、財布の紐(予算)が固くなります。そうすると価格競争が起きやすくなります。ここまでは誰でも知っている事でしょう。

 

問題はここからです。商品やサービスを安く売ろうとすれば、同時に原価や経費を安く抑えないと利益が圧迫されて首が締まります。つまり、どの会社もコスト削減の圧力にさらされます。

 

まず、この時点で社内を変えきれない「鈍感な会社」が淘汰されていきます。

 

次に、コスト削減の圧力が強いと仕入や外注のあり方が見直されますから、流通構造や下請構造が変わりやすくなります。ペーパーマージンを取ってきただけの会社、「長い付き合い」に胡坐をかいて改善努

 

力をして来なかった会社は、一気に厳しくなります。これも自業自得です。

 

そしてこの時期は、ローコストオペレーションによる低価格を武器に、新しい事業モデルで業界地図を塗り替えようとする同業者や新規参入者が必ず現れます。

 

職人技の世界が、アルバイトでもこなせる仕組みに変わっていき、新しい業態の会社の商品に客がどんどん流れていきます。理由は簡単です。安くてお手軽だからです。

 

こういった変化は不況時によく起きます。実際、現在も色々な分野で業界の再編が起きています。

 

春は来ないかも知れない

 

単に不況で財布の紐が固いだけの話なら、景気が回復すれば売上高も戻ってくるでしょう。

 

しかし、業界構造が変わって顧客が別の企業に流れてしまったのなら、残念ながら、景気が回復しても顧客は戻ってこないでしょう。

 

やがて春が来る、と言い続けながら死ぬまで冬が続くかも知れません。

 

今までと同じ事業のやり方を続けていて、本当に今後も生き残っていけるのかどうか、よく考えなければなりません。今はその時期です。

 

意識改革を急ぐべき

 

商品が売れないのは商品力と販売力が弱いからです。特に商品力が問題です。売ろうとしている商品やサービスが顧客ニーズに合っていないと売上高は確実に落ちます。顧客ニーズは一定ではありません。時

 

代の流れや競合商品の登場によって常に変化します。以前はニーズを捉えていても今は商品力の賞味期限が切れているかも知れません。

 

そうした事実は見えているでしょうか。もし見えてなければ、あなたと現場との距離は離れていますので、もっと現場に近づくべきです。

 

そもそも自分の会社の数字をリアルタイムに把握しているでしょうか。経営判断に必要な資料は揃っているでしょうか。その作成を社員に指示しているでしょうか。

 

社員に意識改革を説くのは大切な事です。しかし、その前に経営者であるあなたの意識が改革できているかどうかが大事です。社員が社長以上に変わる事はありません。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2010年4月号掲載)

 

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