ヒント(66) 販売数低下の原因分析法

ある経営者からのご質問
消費者向けに機械の販売をしていますが、不況なのか、最近は機械の販売数が落ちてきました。どう立て直しをすればいいでしょうか。

 

<回答>
販売数が落ちたのは『結果』です。結果には必ず『原因』があります。最初にしなければならないのは、販売数が落ちた原因を分析する事です。

 

不況が原因ではない

 

「不況だから」というのは根本的な原因ではありません。景気が良い・悪いというのは『経済』の問題です。一方で、販売数が増える・減るというのは『経営』の問題です。

 

経済と経営を同じ次元で論じても仕方ありません。「風が吹けば桶屋が儲かる」くらいに思っておけば良いのです。

 

景気が良い時でも売上高が落ちる会社は有ります。反対も然りで、不況でも売上高を伸ばす会社も有ります。問題は、どう経営するかです。

 

『不況』を口にすればするほど、思考が停止し、「不況だから仕方ない」という言い訳しか出てきません。売上高を増やしたければ、「不況だから」という言葉は社内で禁句にすべきです。

 

価格競争も言い訳にすぎない

 

多くの業界で価格競争が起きています。しかし「市場が成熟すれば、業者数が増えて価格競争が起きる」というのは昔から言われている事で、今に始まった話ではありません。

 

問題は、なぜ価格競争に巻き込まれているかです。価格に見合った商品価値がないから、または、それが客に伝わってないから、他社の安い商品と比較されているのです。

 

商品力や提案力の弱さを棚に上げて価格競争のせいにするのは、問題の本質から目を背けているだけです。

 

分析は因数分解から

 

原因分析をする際に大切なのは、結果を生み出す要素に因数分解する事です。

 

販売数は、『客数』と『一人あたり購買数』の掛け算で決まります。「販売数が落ちた」と一言で言っても、客数が落ちたのか、一人あたり購買数が落ちたのか、両方とも落ちたのか、で対策は異なります。『客数』と『一人あたり購買数』をそれぞれ、昨年、一昨年の数字と比較する必要があります。

 

ここで『客数』の減少が販売数下落の原因としましょう。次は客数の分解です。客数は『新規客数』と『既存客数』の足し算です。これも過去の数字と比較します。

 

新規客数を更に分解するなら『引合数』と『成約率』の掛け算です。引合数が減ったのか、成約率が落ちたのか、どちらでしょうか。

 

まだ続きます。引合数は引合ルートごとに分かれます。例えば、新聞広告、DM、看板、ホームぺージ、紹介などです。どのルートが増え、どのルートが減っているでしょうか。増減率は一律ではない筈です。

 

こうやって販売数を各要素に因数分解して現在の数字と過去の数字を比較すると、原因が見えてきます。

 

注目すべき要素が分かれば、そこに焦点を絞って原因を掘り下げます。そうすれば大抵の場合、打つべき手が具体的に見えてきます。

 

数字を見ないと経営はできない

 

販売数を色々な要素に因数分解して原因を突き止めたら、次は対策です。対策とは『悪い原因の除去』を言いますが、対策には予算と人手を要します。つまり、お金と時間が掛かるのです。

 

販売数が落ちれば売上高が減りますので、経常利益が下がり、資金繰りの負担も増します。しかし、その中で、販売数を増やす為の『対策費』が必要なのです。さもないと、販売数は落ちっぱなしです。

 

問題は、資金繰りが悪化し、投入できる予算も人手も限られた中で何に『対策費』を掛けるかです。その判断をするには、原因分析を十分に行ない、「ここにお金を投じれば販売数が回復する」という確信を得る必要があります。

 

こうして見ていくと、計数管理の大切さをご理解頂けると思います。数字を見ないと、何をどう判断すべきなのかが全く分からないのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2010年9月号掲載)

 

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