ヒント(68) 社長と社員が一体となるには

ある経営者からのご質問
会社を変えたいと思い、社員に色々と話をしていますが、打っても中々響いてくれません。私と社員の間に距離があるように感じますが、どうすればいいでしょうか。

 

<回答>
入社時には意欲満々だった社員の気持ちがいつの間にか冷め、あなた(経営者)との間に心の壁ができてしまった訳ですが、これにはいくつかの要因が考えられます。

 

特定の社員のやる気が冷めてしまうのは、社員側にも原因があるとも言えますが、社員の多くが打っても響かなくなってしまうのは、経営者の姿勢に問題があります。

 

社員は何の為に働くのか

 

人が働く第一目的は生活費を稼ぐ為です。これに異論はないでしょう。しかし、それだけではありません。

 

喰うのに困る状態では確かに「何でもいいので仕事が欲しい」となります。しかし、一旦、生計が成り立つだけの収入が得られると、そこから先は、やり甲斐や達成感、自己の成長や自己実現などを社員は求めるものです。

 

問題は、そういった社員のニーズに応えられているかどうかです。企業が顧客ニーズを満たさなければ顧客は逃げます。それと同じです。企業が社員ニーズを満たさなければ社員は逃げます。顧客とは違い生活が掛かっているので体は逃げませんが心は逃げるのです。

 

そもそも社員ニーズを意識した事はあるでしょうか。

 

社員を雇っているのは会社

 

経営者と社員の間にはどうしても上下関係があります。組織ですからそれは当然です。しかし、経営者と社員との間で利害が対立してはなりません。

 

社員が仕事で楽をする事ばかり考えるのには訳があります。それは「自分達が頑張っても得をするのは社長」「自分達を安い給与で働かせて経営者だけが儲けている」と思われているからです。

 

別に役員報酬を下げろと言っているのではありません。社員の目を別の所に向けさせるのです。

 

『経営者と社員』という図式だとどうしても利害対立します。ここに欠けているもの一つがあります。それは『会社』です。

 

社員を雇っているのは経営者ではありません。会社です。社員が頑張るのは経営者を利する為ではなく、会社の発展の為です。

 

社員の目を向けさせる先は『会社』です。ここは絶対に抑えなければならないポイントです。

 

会社はだれのものか

 

オーナー経営者は、株主と経営者の両方の顔を持ちますが、社員の前で両者を使い分けているでしょうか。

 

本音では「私の会社」と思っていても、その気持ちを社員の前で出すべきではありません。

 

「私の会社」というスタンスで社員に接していると「会社の為と言っていても、結局はあなたの為でしょ」としか思ってくれません。経営者が自分の利益の為に経営すれば、社員が自分の利益や都合を優先するのは当然のことです。

 

そうではなく「我々の会社」というスタンスで社員と接するのです。人の集まりが組織として機能するには共有の目的が必要なのです。

 

経営者が頑張るのは会社の為。社員が頑張るのも会社の為。目的は会社の発展であって、経営者や社員の個人的な利益追求ではない。

 

ここで経営者と社員の利害が一致するのです。このような図式を意識して作っていく事が重要です。

 

企業理念を徹底する

 

会社には理念が必要です。社員がバラバラな会社は、企業理念が無かったり、形骸化したりしています。

 

企業理念とは企業の存在意義であり、あるべき基本的な姿です。「自分達の会社は一体、誰の何に貢献する為に存在するのか」という根本的な存在目的の共有が必要です。

 

企業理念を強く意識すればするほど、会社の一員として頑張る事に喜びを感じることができます。企業理念は会社組織の最も重要な土台です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2010年11月号掲載)

 

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