ヒント(70) 受け身の営業から脱出するには

ある経営者からのご質問
売上高が下がってきたので営業担当にハッパを掛けていますが、御用聞きの域を出ず、なかなか成果がでません。もっと攻めの営業をさせるにはどうすればいいでしょうか。

 

<回答>
営業担当が御用聞きしかしないのは、「御用聞きが仕事だ」と会社側が思わせているからです。つまり、職務設計、営業方針や目標、評価方法などに問題があるのです。

 

営業職の仕事は何か

 

企業が営業職を雇うのは、商品を売ったり仕事を受注したりする為です。黙っていても商品が売れたり仕事が入ってきたりするのなら、高い人件費を払って営業職を雇用する必要はありません。

 

実は、売り上げには2種類あります。それは、『売れた』と『売った』の2つです。両者は意味が全く違います。

 

会社に実績や知名度があり、商品やサービスに分かりやすいメリットがある場合は、特に営業努力をしなくても顧客は購入や発注をします。これが『売れた』です。

 

商品やサービスが『売れる』には、マーケティングやブランディングが重要です。営業努力は問われません。特に大きな失敗をしない限り、客の背中をちょっと押すだけで売上高が立ちます。

 

一方で、商品やサービスのメリットを伝えるのに、口頭での説明や提案を要する場合は、営業職が相手を訪ねて商品説明や提案、調整をしないとなかなか売れません。

 

このように、売る為の努力を重ねた結果として販売や受注につながったケースが『売った』です。

 

営業成果とはいくら『売った』かです。『売れた』金額は成果に入りません。『売った』と『売れた』は明確に区別すべきです。

 

売上高の構造を理解する

 

社歴が長く安定した得意先やリピーターを抱えている会社では、特に提案営業や新規開拓をしなくても、安定的に商品が売れたり注文が入ったりします。

 

このようなケースでは、『売る』よりも『売れる』の方が金額的に大きく、営業担当もそれに慣れています。提案や開拓などしません。いつもの顧客の所に行き「何か足りないものはありますか」と言うだけで売り上げが立つのですから。

 

ところが、商品やサービスは、競合が増えたり廉価品が出回ったりすると徐々に売れなくなります。業界構造や流通構造が変わり、技術革新や購買者の世代交代があると『売れる』数は落ち込んでいきます。

 

今、重要なのは『売る』数を増やす事です。しかし会社側が強く要求しない限り、営業職は新規得意先の開拓や新商品の提案などの営業努力をせず、従来通りの動きを続けようとします。

 

なぜなら、既存客に御用聞きをするだけで売上目標の半分以上を手っ取り早く確保でき、それで安心してしまうからです。

 

そして、それを会社側が暗黙のうちに認めてしまっているのです。

 

方針や目標の立て方が大事

 

営業職にどれだけハッパを掛けても、具体的な動きが変わらなければ結果は変わりません。

 

そこで、営業方針や目標の立て方が重要になります。営業方針として、「新規得意先の開拓」や「利幅の大きな商品の販売」などを具体的に決めます。

 

また、営業担当が売る活動に専念できるよう、提案や説明が要らないタイプの顧客への対応を事務職などに引き継ぐことも必要です。

 

そして、目標や評価基準も、売上高の総額ではなく『売った』金額を重視するよう変えて下さい。社長が『売る』努力した人を意識して褒めれば、営業担当は売る為の活動をするようになります。

 

更に、新規開拓先リストや営業ツールを整備し、顧客ニーズや提案ノウハウを皆で共有します。そうやって営業活動の型を作っていきます。

 

意識だけ変えようとしても変わりません。行動が具体的に変わってこそ、意識も変わるのです。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年1月号掲載)

 

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