ヒント(72) 営業以外の社員にも営業マインドを持たせるには

ある経営者からのご質問
法人向けのサービス業です。ここ数年、売上高が伸び悩んでいるので今期からは技術者や総務も含めて社員全員で営業しようと考えています。営業職でない社員に営業マインドを持ってもらうにはどうすればいいでしょうか。

 

<回答>
あなたが最初にしなければならないのは「なぜ自分達が営業しなければならないのか」という社員の疑問に答える事です。

 

それに納得すれば次は「何をどれだけやればいいのか」という疑問への対応です。

 

そして「自分に営業が務まるのか」という不安を解消する事も必要です。

 

今までと違う取り組みをさせる訳ですから、社員の疑問に一つ一つ丁寧に答えていく必要があります。

 

ただ「皆で営業しよう」と言うだけでは誰も動きません。

 

売上高を増やす目的は何か

 

営業の目的は粗利益の確保です。ただ、売上高の方が分かりやすいので「皆で営業して売上高を増やそう」という方針を立てるとします。

 

それだけで動き出す人は、会社の売上高を増やす必要性を肌で理解している人です。しかし、実際はピンとこない人の方が多いでしょう。

 

営業職以外の多くの社員は、会社の売上高と自分の収入を関連づけていません。そこを関連づけてやる必要があります。

 

概念論で言えば「皆さんの給与の出所はお客様からです。だから、営業を頑張って売り上げを増やしましょう」という説明になります。しかし、これだけでは不十分です。

 

「会社の売上高が増えたら自分の給与はいくら増えるのか」という疑問にも答える必要があります。

 

これは報奨金の話ではありません。報奨金はあくまで『アメ』であり、会社の売上高と自分の収入を関連付けるものではありません。報奨金だけでは営業モチベーションを長期的に維持する事ができません。

 

大切なのは経営計画です。「皆で頑張って売上高をこれだけを増やせば利益がこれだけ増えるので、一人当たりの給与や賞与をこれだけ増やせる」「ここまでの数字は営業職だけで達成できるが、それ以上は無理だ。これは社員全員で営業をして初めて達成できる数字だ」という具体的なシナリオが重要なのです。

 

勿論、その前提として、会社の損益を社員に開示する必要があります。

 

営業への不安を解消する

 

営業をやった事の無い人に「営業しろ」と言うと普通は不安を感じます。そもそも、営業職以外の人は営業に対してネガティブな印象を持っています。それを一つずつ正して安心させる必要があります。

 

たとえば「自分は口下手なので無理だ」という社員には「営業は話すのが仕事ではない。聞く事が仕事だ」と説明します。口下手でも聞き上手でさえあれば営業はできます。

 

「客の断わりが怖い」という人もいます。そういう人には「あなたの人格を否定している訳ではない。今は不要というだけだ」と説明します。実際、一旦断った人が一年後に契約するケースはいくらでもあります。

 

社員はこうした不安を口にしないかも知れません。しかし、心の中では思っています。それに答えるかどうかで動きが違ってきます。

 

最初の一歩を具体的に示す

 

不安を解消したら『最初の一歩』を具体的に提示します。多くの人が動き出さないのは、最初に何をすべきかが分からないからです。

 

たとえば、「まずは過去に顧客だった会社を洗い出して皆で電話掛けをしよう。目標は1人30件ずつ、期限は今月中。」といった具合です。その際、会社として電話で何を話すのかをトークマニュアルにして整備する『支援策』も提示して下さい。

 

そして、実際に営業活動に頑張った人を皆の前で褒める事です。たとえ成果が出なくても、種まきが立派なら褒めて下さい。まずは営業活動を定着させる事が大切です。

 

スローガンだけでは人は動きません。具体的な仕掛けが必要です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年3月号掲載)

 

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