ヒント(73) 商品を他社より高く売るには

ある経営者からのご質問
同業他社が値下げをしている中で当社は定価販売を続けていますが、徐々に売上高が落ちてきています。他社より価格が多少高くても売上高を落とさないようにするには、どんな売り方をすればいいでしょうか。

 

<回答>
現在は、殆どの業界で「いい物を安く」が当たり前になっています。どの業者でも『良い商品』を仕入れたり作ったりできる以上、価格競争が起きるのは自然な事です。

 

問題は、この現状でどうすれば価格を落とさずに販売できるか、という事ですが、それにはマーケティングが重要です。

 

どの客層を捨てるのか

 

価格競争に巻き込まれないようにするには、まず「全ての人に売る」という発想を捨てる事です。

 

世の中には、価格の安さで商品を選ぶタイプの客が大勢います。そうした人達も客として取り込むなら、どうしても商品価格を下げざるを得ません。定価販売したいのであれば、価格の安さを重視する客を販売対象から外す必要があります。

 

また、商品価値で選ぶ客にしても、商品のどこに価値を感じるのかは、その人によって違います。商品に品質の良さを求める人、機能性を求める人、使い易さを求める人、安心感を求める人など、様々なタイプ(客層)があります。

 

問題は、どの客層に商品やサービスのコンセプトを合わせるかです。ニーズは客層によって違います。複数の客層の異なるニーズを一つの商品で満たそうとすると、コンセプトがぼやけます。

 

客は色々なニーズを満たして欲しいのではありません。一番重要なニーズを徹底的に満たしてくれる商品が欲しいのです。

 

だから、客層の絞り込みが大切です。よく「差別化が大事だ」と言われますが、ターゲット客層が不明確だと、本当の意味で差別化はできません。ただ単に『高い商品』が出来るだけです。

 

あなたは、どの客層を取り、どの客層を捨てるのでしょうか。

 

顧客リストを入れ替える

 

客層を絞り込むという事は、ターゲット層以外の客からの売上高を捨てる、という事です。

 

売上高を増やす話と矛盾しているように思われるかも知れませんが、それでいいのです。

 

実は、企業の競争力は、商品や人材、設備だけで決まるのではありません。どんな人(や会社)を客としているのかによっても違います。つまり、顧客リストに載っている客の質も競争力のうちなのです。

 

自社の商品に合わない客層は長い目で見ると居なくなっても差し支えありません。

 

その代わり、商品の価値を理解し価格で浮気しない客を新規営業で取り込むのです。すると、ターゲットでない従来の客が去る一方で、ターゲット層の客が増えていきます。

 

低価格を重視する大口顧客が逃げれば売上高は一時的に減ります。しかし、低価格路線の客は元々粗利益率が低いので、利益に対するダメージは限定的です。

 

だから焦らずターゲット層の客を集めて下さい。売上高が増えるスピードは遅いかも知れません。しかし、定価販売の客層は粗利益率が高いので、利益は早く増えます。

 

ターゲット層でない客の減少が一段落すれば、あとはターゲット層の客が増え続けるだけです。売上高は下げ止まり増収に転じるでしょう。

 

商品の価値を伝えきる

 

ターゲット客層が明確なら商品コンセプトも明確になりますので、他社との差別化は簡単です。

 

ただし、ここまでなら『良い商品』です。これを『欲しい商品』に変えるには、広告や人的販売の方法を見直す必要があります。

 

自社商品を買う一番のメリットは何か。他社商品との決定的な違いは何か。その根拠は何か。

 

こういった事がダイレクトに伝わるよう『メッセージ』を磨く事が重要です。ごちゃごちゃと余計な事を説明するのは逆効果です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年4月号掲載)

 

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