ヒント(75) 社員に報告を定着させるには

ある経営者からのご質問
社員に報告の徹底を何度も呼びかけておりますが、業務報告が有ったり無かったりで、なかなか定着していません。どうすれば、報告がしっかりなされるでしょうか。

 

<回答>
社員が業務報告をしないのは、報告の必要性を十分に理解していないからです。

 

そもそも、なぜ報告をしなければいけないのか、具体的な理由を社員に教えているでしょうか。報告の目的が分からない人に、「報告しなさい」と言っても無理な話です。

 

なぜ報告が必要なのか

 

会社の組織は、上司が部下を信用して業務を任せることで成り立っています。社員は、自分で業務を『持っている』と考えがちですが、そうではありません。上司から『預かっている』のです。

 

もし、業務が本人の所有物なら、業務をこなせば終わりです。報告は「しないよりはいい」程度の認識になるでしょう。

 

しかし、業務は上司からの預かり物です。

 

作業完了と仕事完了は違います。作業完了を上司に報告するまでが仕事です。上司に報告をしない限り、仕事は終わってないのです。

 

報告しない人には昇給はない

 

上司は、部下に任せた仕事の中間報告や完了報告を受けて、軌道修正をしたり次の指示を出したりします。

 

部下からの報告がないと、上司は仕事の結果をいちいち部下に確認しなければなりません。これが大変な負担です。

 

そうすると、上司は「彼(彼女)に業務を任せるよりも自分でやった方が確実だ」と考えてしまい、部下に仕事を任せなくなります。

 

上司に報告をしない部下は、業務を「ひとまとまり」として任せてもらえず、ただ言われた通りに作業するだけです。そんな社員には、高い給与は払えません。

 

繰り返しになりますが、作業と仕事は違います。作業に熟練していても仕事ができない人は、いつまでも安月給なのです。

 

仕事ができるかどうかの分かれ目は、業務を『安心して』任せられるかどうかです。その必須条件が『報告』なのです。

 

いつどんな報告をするのか

 

報告を定着させるには、社員教育だけでなくルールづくりも大切です。

 

「報告が大切だ」という言い方だけでは抽象的です。人は具体的に言われないと動きません。つまり、いつ誰に何をどのように報告するか、といった『5W1H』が必要です。

 

そこで、会社として、報告の内容やタイミング、手段などを決めておきます。

 

よくある方法が業務日報です。ただし、業務日報を作成する負担が大きければ、やがて形骸化します。

 

よって、業務日報の項目を絞り込む工夫が大切です。上司から見て気になる点があれば、詳しい報告を別途口頭で求めればいいのです。

 

報告へのフィードバックが必要

 

また、業務日報を提出させる場合は、上司から部下へのフィードバックが必要です。

 

部下が業務日報を毎日提出してもそれを見ている上司から何のフィードバックもなければ、部下は報告を『形式的なもの』と捉えます。

 

したがって、報告を受けた上司は、必ず次の指示や指導、ねぎらいの言葉を返さなければなりません。

 

これは報告を受ける側の義務です。上司にとっては面倒なことですが、これをすることによって、社内のコミュニケーションが深まり、ひいては大きな成果に結びつきます。

 

こういったことを会社の方針として打ち出します。

 

報告がなければ叱る

 

それらに加えて、上司への報告や部下へのフィードバックの有無を、人事評価にしっかり反映させて下さい。また、業務を頑張っても報告がない社員には、業務の頑張りを認めつつ、報告がない点は叱って下さい。

 

社長が本気であることを社員にハッキリと示すことが大切です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年6月号掲載)

 

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