ヒント(78) 他社と差別化をするには

ある経営者からのご質問
業界内の競争が激しく価格の叩き合いが起きています。他社と同じ事をしていても先が見えているので、何とか差別化をしていきたいと思います。どのように差別化をしていけばいいでしょうか。

 

<回答>
市場が成長している時は、時流に乗れば売り上げは確保できますが、市場が成熟し供給過剰になると、そうはいきません。必然的に淘汰の波が押し寄せてきます。

 

厳しい業界で適正利益を確保するには、これまでと同じやり方ではなく、新しい取り組みで顧客を獲得していく必要があります。

 

競合他社と同じ客層を狙う場合は、より魅力的な商品やサービスを提供する事が大切です。「良い商品を手頃な価格で」というのは、何百年も前から変わらない商売の鉄則です。

 

ただし、客から見た『良い』の定義は変わっていきます。

 

魅力的な商品を作る

 

商品の安さは魅力の一つです。ただし、「安かろう悪かろう」では続きません。

 

仕入や生産の原価を競合他社が追随できないくらい下げる仕組みがあれば、強力な差別化要因になります。

 

しかし、単に利益を削って価格を下げるだけでは、商品やサービスの質が低下するだけです。悪い商品はどんなに安くても売れません。

 

やはり、基本は商品力による差別化です。商品で違いを打ち出せるなら、それが一番です。その為には、新商品の開発または発掘が大切です。客のニーズは変わるので、商品も変えていく必要があります。

 

なお、商品は新しければ良い、という訳でもありません。市場を調査して「こんな商品が求められているが、まだどの業者も扱ってない」というものを見出す事がポイントです。

 

サービスによる差別化を

 

商品自体で差別化しにくい場合もあります。業界内で仕入先が似ていたり、技術水準が近かったりするケースです。この場合は、サービスや事業モデルで差別化します。

 

サービスによる差別化は『接客が丁寧』『対応が早い』『融通がきく』『利便性が高い』といったものです。

 

ただし、何でも相手の言いなりになるのではありません。提案が大事です。相手の真意を見極め、必要なものを提案・提供し、客が抱える問題・課題を解決するのです。

 

これが『サービス』です。非常に強力な差別化要因です。

 

仕組みづくりが必要

 

サービスによる差別化を徹底するのは、簡単そうで実は大変です。

 

まず、従業員の高い意欲が必須です。社員教育も必要です。受け身の接客なら簡単ですが、積極的に提案して客の心を掴むのは、誰でも出来る事ではありません。

 

また、業務手順の標準化や顧客管理も必要です。サービスの提供には人手、すなわち人件費が掛かります。手間に見合った価格設定も求められます。その前提として、時間管理も実施せねばなりません。

 

「そこまでやるのは大変だ」と思われるでしょうか。しかし、大変だからこそ、やり切った少数の企業が勝ち組になり、やり切れない多数の業者が負け組になるのです。

 

簡単に出来るなら簡単に真似できます。それでは差別化になりません。

 

他社とは違った客層を狙う

 

他社とは違う市場や客層に狙いを定める方法もあります。

 

社会情勢が変われば、新しいニーズが生まれます。それを他社に先駆けて取り込めば、競争の少ない事業展開ができます。これをするには、社会変化を読む先見性が必要です。

 

また、客層を絞り込む事も大切です。市場が成熟すれば必ず顧客ニーズが細分化されます。特定のニーズを持った客層に狙いを絞れば、八方美人的な商売をする同業者よりも有利になります。

 

客層を絞ると、一時的に売上高が下がります。だから、恐怖心があります。しかし、それをやれば、『絞られた客層』にとっては、商品コンセプトが分かりやすくなります。その結果、後から売上高がついてきます。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年9月号掲載)

 

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