ヒント(80) 資金繰りをよくするには

ある経営者からのご質問
赤字経営で資金繰りが厳しい状態が続いています。金融機関から運転資金を借りたいのですが、業績が悪いためか前向きな返事が貰えません。どうすればいいでしょうか。

 

<回答>
金融機関が融資するかどうかは、返済の確実性で決まります。資金が回ってない会社には返済能力がないため、新規借入は困難です。

 

そもそも、資金繰りが厳しい、つまり返すアテが無いのに借金しようという考え方に問題があります。

 

借りるのではなく返済を止める

 

程度にもよりますが、既存借入金の返済は、会社の資金繰りを圧迫しています。よって、借入金の元本返済を一定期間猶予して貰うよう、金融機関にお願いする必要があります。

 

返済猶予ができない場合でも、月々の返済額を減額して貰う方法もあります。

 

とにかく、借りるのではなく返済額を抑える事が第一歩です。

 

売上高はすぐには増えない

 

資金繰りが厳しいのは、入って来るお金よりも出て行くお金の方が多いからです。

 

これを改善するには、『入るお金を増やす』方法と『出て行くお金を減らす』方法とがありますが、優先順位が高いのは、『出て行くお金を減らす』事です。

 

なぜなら、入るお金を増やすには売上高を増やす必要がありますが、時間が掛かります。短期間で売上高を増やすには、商品力強化や広告宣伝にお金を掛ける必要があります。しかし、資金繰りが回ってない現状で、それは無理です。

 

資金繰りが厳しい時に「売上高を増やして何とかする」という考えは通用しません。いつまでも売上高が上がらないどころか、逆に下がり続けるのが現実です。

 

最初に出血を止める

 

繰り返しますが、出て行くお金を減らす方が先です。つまり、原価を削り販管費を削減するのです。

 

赤字とは、売上高よりも費用の方が多いという事です。なぜ費用の方が多いのですか。答えは一つです。費用をかけ過ぎているからです。

 

年商3億円の会社と年商2億円の会社とでは、掛かる費用は違います。もともと、年商3億円の会社は、売上高が2億円に下がっても年商3億円時代の費用を使い続ける傾向があります。だから赤字なのです。

 

売上高が下がっても、その分費用を下げれば赤字にはなりません。

 

まずは、人員の削減、外注の内製化、仕入価格の削減、支払手数料の削減などをすべきです。それだけで黒字になるケースも多いです。

 

売掛金や在庫を減らす

 

売掛金や在庫が増えると資金繰りを圧迫します。資金繰りが厳しい会社に限って、売掛金の回収管理が雑だったり、商品や原材料を大量に眠らせていたりするものです。

 

売掛金はゼロが理想です。つまり、少ない程よいのです。売掛金はとにかく早く回収します。入金遅れに気づかないなど論外です。この点はもっとシビアにならねばなりません。

 

在庫は欠品しない程度には持たねばなりませんが、適正在庫を保つ努力は必要です。

 

まとめて発注した方が安い、というのは安易な考えです。仕入れた分は、たとえ売れなくても代金を支払わないといけません。その分は資金繰りを圧迫します。

 

出血が止まったら輸血する

 

借入金の元本据置、コスト削減、売掛金や在庫の削減が進めば、資金が回り、少しだけ余裕が出てきます。

 

そのうえで、広告宣伝、営業強化、商品拡充などに資金を回して売上高の回復を図ります。売上高が下げ止まり増加に転じれば、元本据置の終わった後も資金は回ります。

 

ここに至るまでには、従業員には、人員削減、賞与カット、給与削減などの痛みを負わせる事になりますが、将来、経営が立て直せれば、待遇を元に戻せます。

 

このような展望を社員と共有し、健全な危機感を持って会社の立て直しを計って下さい。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2011年11月号掲載)

 

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