ヒント(82) 提案営業の力をつけるには

ある経営者からのご質問
これからの営業は御用聞きでは駄目だと思い、社内で提案営業を推進していますが、顧客の心を掴む提案にまで至っていません。どうすれば、提案営業の力量が身に付くでしょうか。

 

<回答>
提案営業とは、顧客が抱える課題の解決策を提案する営業手法をいいます。顧客に提案するのは商品ではなく解決策である点が御用聞きと全く異なります。

 

そして、提案営業では『解決を必要とする顧客の重要課題』の見極めが鍵を握ります。

 

ここを理解しないと、提案営業という名の御用聞きになります。

 

問題と課題の違い

 

 

まず、『課題』という言葉の意味を確認します。似たような言葉に『問題』があります。課題と問題はニュアンスが異なります。

 

問題とは、現在のマイナスを無くす為に解決すべき事をいいます。一方で、課題とは、将来のプラスを得る為に解決すべき事をいいます。

 

問題は、好ましくない状況として顕在化している為、顧客は自分なりに解決策を考え、必要な商品やサービスを業者に注文します。ここでは、商品やサービスの良さを伝える営業手法になり、多くは競合があります。

 

課題は、『将来の目標』と『現状の延長』とのギャップであるため、顧客の認識に乗ってない事が多く、何かの拍子で気付くものです。

 

提案営業では、顧客自身が明確に認識していない課題を顧客に気付かせる事が重要です。顧客は解決策をまだ考えてない為、他社との競合は殆どありません。

 

顧客の重要課題を見抜くには

 

 

課題を見抜くには、顧客が目指す目標を把握する必要があります。そして、現状の延長で達成できそうかどうかも予測しなければなりません。

 

通常は、現状の延長よりも上を目指しますので、目標と予測にはギャップがあります。それが課題です。

 

顧客が法人の場合、業務課題よりも経営課題の方が重要です。よって、面談相手は顧客側の経営者です。

 

経営者にヒアリングして経営課題を把握するには、経営者と会話できるだけの経営知識や顧客の業務知識が必要です。

 

提案営業では、こちらが喋るのは最後だけで、基本的には聞き役です。相手にどんな質問を投げかけ、何を引き出すのかが決定的に大事です。

 

もちろん、相手に会う前に、その会社の業務内容や業績などを調査するのは常識です。

 

顧客は重要な課題にしか、お金を出しません。提案が外れるのは、重要課題を見抜けていないからです。

 

傾聴力と分析力を身につける

 

 

ヒアリングでは、顧客の発言内容以上に『なぜそう言ったか』の背景を探る方が大事です。

 

顧客が本音を言うとは限りませんし、自身の考えを正確に表現出来るとは限りません。そもそも、課題とはモヤモヤしているものです。

 

顧客自身が認識していない課題を見つけるには、顧客の発言意図を突っ込んで質問したり、現場を視察したり、業務の流れを図示したりして、多面的に分析する必要があります。商品説明はまだまだ先です。

 

重要課題が分かったらそれを顧客に示します。「この人は、私以上に自社を分かっている」と相手に思わせられるかどうかが勝負所です。

 

解決策とは何か

 

 

重要課題を顧客と共有できれば、あとは解決策の提示です。ただし、解決策とは商品自体ではありません。それらを使って業務の流れを変える事も含みます。つまり、解決策として提案するのは『しくみ』です。

 

提案した解決策に顧客が賛同すれば後は簡単です。しくみの導入に必要な自社商品を、必須条件として提示すればいいのです。顧客が出せる予算は考慮すべきですが、多くの場合、定価で販売できます。

 

提案営業では、相手に『課題解決の専門家』だと思わせる事も大事です。商品や技術の知識を徹底的に掘り下げ、顧客から相談される営業マンの集団を目指して下さい。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年1月号掲載)

 

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