ヒント(83) 自分で考えて動く社員を育てるには

ある経営者からのご質問
うちの社員は、指示された事は着実にこなしますが、自分の頭で考えて動く事ができません。どのように育成すればいいでしょうか。

 

<回答> 
会社を大きくするには、社長がいつまでも一人で仕切っていては駄目で、企画や判断を社員、特に管理職に任せる体制を作らねばなりません。

 

その為には、「何をなすべきか」を自分で組み立てて自発的に行動できる人材が必要です。

 

ただ、社長が期待する『自分で考えて行動できる社員』は、世の中でそれほど多くはありません。

 

それをご理解頂く為、最初に社長と社員の違いを確認しておきます。

 

社長の仕事は経営

 

社長の仕事は『経営』です。つまり、戦略を立てたり、組織を構築したり、しくみを作るのが仕事です。

 

また、重要事項の決定権を持ち、判断結果に対して最終的に責任を負います。会社の借入金の連帯保証人であり、会社と一連托生なるが故に、ある一定のリスク(先行投資)も自分の判断で取れます。

 

当然ながら、社長たるもの、常に頭を働かせている訳ですが、その視点は『会社全体』です。会社の全部門、全機能(財務、営業、総務など)を見渡したうえで、大局的に考えて判断している筈です。

 

これが社長の立場です。

 

社員の仕事は管理や業務

 

一方で、社員の仕事は『業務』です。管理職なら『管理』が仕事になりますが、いずれにせよ『経営』ではありません。

 

社員は、会社の部門や機能の一部を担う存在であり、最終決定の責任や権限を持つ訳でもありません。

 

判断の結果が個人の人生を大きく左右する訳でもありません。会社の資産を自分の裁量で動かせる訳でもなく、会社全体を大局的に見る必要性に迫られてもいません。

 

社長と社員とでは、同じ会社にいても立場が全く違います。それを理解する事が現状改善の第一歩です。

 

考える力をつけるために

 

社員が物事を自分で考えられないのは、頭が悪いからではありません。どちらかと言えば、『考えさせ方』の問題です。列挙しますので一つずつ改めて下さい。

 

①課題の絞り込み

たとえば、社員に「売上増加の方法を考えろ」と言っても、ハードルが高いです。なぜなら、これは経営の視点だからです。

 

売上増加といっても、集客、契約率、リピート率、購買頻度、客単価など色々あります。また、問題は商品力や価格にあるかも知れません。 

 

社員に考えさせるのであれば、「契約率を高める営業ツールを考えろ」といった具合に、業務レベルまで課題を落とし込む必要があります。

 

②幅広い経験と知識

社員は社内業務の一部分しか担ってない為、社長よりは視野が狭く、自己の業務経験の中だけで物事を考えようとするのが普通です。

 

したがって、社員教育の方法として、複数の職務を経験させたり、財務会計、マーケティング、営業、顧客管理、商品技術、オペレーションなどの知識を幅広く学ばせたりする手法を取り入れるべきです。

 

③社内情報の開示

考える為の材料も必要です。色々な社内情報、特に『数字』を社員に開示すべきです。

 

当然ながら、数字の読み方は普段から教えておきます。また、数字を推移表やグラフにするなど、見やすい資料を整備すべきです。

 

④目的や因果関係に着目

物事を考えるには論理性が大切です。論理的思考を身につけるには、『目的と手段と区別する』『原因を掘り下げる』『数字を使って考える』『優先順位をつける』といった訓練を日常的に行えばいいでしょう。

 

⑤一つの事を考え続ける

課題の解決策を考えるのは長期戦です。思いつきのアイデアなど、取るに足りません。一つの事を何日も考え続ける粘り強さが大切です。社長のあなたは実践している筈です。同じ事を社員にもさせて下さい。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年2月号掲載)

 

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