ヒント(85) 現場の作業効率を高めるには

ある経営者からのご質問

当社は専門サービス業です。最近は受注案件の単価が下がった為、現場の作業を効率化して人件費を抑えようとしていますが、うまく行っていません。どうすれば、効率化できるでしょうか。

 

<回答>

作業効率とは『一定時間にどれだけの作業をこなせるか』を指します。作業効率を良くするには、『時間』と『出来高』の2つを強く意識し、改善策を実践しなければなりません。

 

時間には金が掛かる

 

古くからの諺に「時は金なり」という言葉がありますが、ビジネスでは時間はお金と同じです。

 

なぜなら、会社の固定費は、時間に対して掛かる費用だからです。決算書を勘定科目ごとによく見て下さい。「1カ月でいくら」という類の費用が如何に多いか実感できます。

 

そして、その最たるものが人件費です。人件費とは、社員の時間を会社が毎日8時間使わせて貰う事に対して掛かる費用です。

 

多くの会社では、人件費が一番金額の大きな費用です。会社が買い上げた『社員の時間』を有効活用できるかどうかで、収益性が違ってくるのは当然の事です。

 

また、逆を言えば、1日8時間でどれだけの『出来高』を叩きだせるかによって、会社が社員から買う『時間』の単価が決まります。

 

つまり、会社の給与水準は労働生産性で決まります。会社が安い給与しか出せないのは、社員1人あたりの利益が少ないからです。

 

同じ人数でもっと稼ぐ。これが、会社の利益と社員の所得の両方を増やす唯一の方法です。

 

時間を決めて時間を測る

 

作業効率を高めるには、まず、何にどれだけ時間を費やしているかを知る、すなわち、時間を測定する必要があります。

 

御社では作業日報を漏れなく付けているでしょうか。また、作業日報に記載された作業時間を、案件別や個人別に集計しているでしょうか。

 

各案件の受注額から費用(材料費や外注費など)を差し引いた『儲け』を総作業時間で割り算すれば、『時間あたりの儲け』が出ます。

 

これが作業効率です。現場の作業効率は『金額』で測りますが、その数字が把握できているでしょうか。

 

作業効率を高めるには、何に時間を要しているかの統計が必須です。

 

そして、もう一つ。現場の各作業に対して標準時間(目標時間)を決めているでしょうか。

 

それぞれの案件は受注額が決まっています。原価や粗利益を差し引くと、掛けていい人件費(時間)には上限があります。

 

したがって、現場作業では、持ち時間の範囲内で仕事を完成させる努力が必要です。

 

現場の各作業において、時間(人工)の目標を決め、時間を測り、改善策を立てて実行する。これで、PDCAサイクルが回ります。

 

作業が効率化されないのは、時間管理のPDCAサイクルが回ってないからです。

 

効率を高めるのに必要な事

 

現場の作業効率を高める方法は、社員のスキルアップや意識付けだけではありません。

 

案件全体の効率を高めるには、過剰品質を避ける事も大切です。持ち時間が限られている以上、どこかで見切りをつける必要があります。何に時間を掛け、何を端折るのか、会社として方針を決めるべきです。

 

作業手順も決めましょう。『一番速い方法』や『押さえるポイント』は、社内で共有できているでしょうか。

 

また、顧客が何を目的としているか(真意)を見抜く力も大切です。顧客満足と関係ない部分に時間を掛けても無駄でしかありません。

 

作業期間が長い場合は、リスク管理も必要です。問題が起きてから対処するのではなく、予防や早期解決を徹底すべきです。

 

そして、作業を効率化する『道具』にも投資して下さい。移動するなら、走るよりも車に乗る方が速いのです。

 

作業効率化は、社員の個人任せでは不十分です。会社として、仕組みを作り込む事が重要です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年4月号掲載)

 

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