ヒント(87) クレーム件数を減らすには

ある経営者からのご質問

当社は建設業です。顧客からのクレームを削減すべく数年前から取り組んでいますが、あまり状況は変わりません。どうすればクレームを減らす事ができるでしょうか。

 

<回答>

クレームは、商品やサービスに瑕疵があり、顧客が不満を持っている場合に発生します。つまり、「クレームの削減」は「顧客満足度の向上」と実質的には同じです。

 

クレームが減らないのは、顧客満足向上の取り組みが弱いからです。

 

顧客は何を買っているのか

 

顧客満足を考える際に誤解してはいけないのは、「顧客が何に対してお金を出しているか」です。

 

顧客は、商品というモノを買うのではありません。商品から得られる『便益』を買うのです。

 

700円の弁当を高いと感じる人が居酒屋で3000円を使うのは、『楽しさ』や『交流』という便益を買っているのです。

 

高級車に乗る人は『ステータス』が目的であり、どんなに安くても軽自動車は買いません。

 

住宅で言えば、顧客(施主)が買うのは、建物ではなく『住み心地』です。店舗であれば『集客力』、アパートであれば『安全で効率のよい資産運用』になるでしょう。

 

顧客が欲しいのはモノではなく便益である事を、よく理解する必要があります。

 

現場の意識が間違ってないか

 

それが分かると、クレームの本質が見えてきます。作った『モノ』自体に瑕疵がなくても、顧客が期待する便益が得られなければ、『売り物』としては瑕疵がある、という事です。

 

欠陥品や不良品だけが、クレームの発生源ではないのです。

 

むしろ、最近は「期待外れ」「使いにくい」「対応が悪い」といった不満が増えており、こうしたクレームへの対策が求められています。

 

それに対して、現場社員の意識が「欠陥や不良を出さなければよい」「言われた時に直せばよい」といったレベルなら、クレーム撲滅は夢のまた夢です。

 

まずは、意識改革が必要です。

 

顧客の意図を見抜く力を

 

モノの品質は熟練者が見れば分かります。

 

しかし、顧客満足は心の問題です。顧客が求める便益は何か、その手段として、どんな商品を期待しているのか、を見抜く必要があります。

 

御社の社員は「顧客の言う通りに仕事をすればよい」と思っていないでしょうか。

 

顧客が、その分野のプロで十分なコミュニケーション能力を持っているなら、それで良いでしょう。

 

しかし、そんな顧客は少数です。自分が欲しい商品を具体的にイメージする力も、それを業者に的確に説明する力も無いのが普通です。

 

だから、顧客とよく会話し、相手の頭を整理し、こちらから提案もしながら、具体的な形を詰めていく事が必要です。

 

社員教育の見直しが必要

 

重要なのは、顧客とのコミュニケーション能力です。このスキルは、営業担当だけでなく、顧客と接する全社員が持っておくべきです。

 

技術者は技術を磨けばよい、と思っていないでしょうか。確かに、技術力は必要ですし、顧客もそこに期待するかもしれません。

 

しかし、顧客は技術力に対して満足はしません。あくまで、期待していた便益が得られたかどうかです。

 

技術すら無ければ論外です。しかし、技術は必要条件ではあっても、十分条件ではありません。

 

顧客とのコミュニケーション能力を全社的に底上げするよう、社員教育のあり方を見直しましょう。

 

予防と再発防止に時間を割く

 

最後になりますが、クレームの『対応』と『対策』は区別して下さい。クレームに対応して終わりだと、やがて同様のクレームが発生します。

 

クレームに対応した後は必ず、原因をよく分析し、再発防止や予防の対策を立てて下さい。喉元過ぎて熱さを忘れる会社は成長しません。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年6月号掲載)

 

一覧表に戻る