ヒント(88) 経営改善に取り組む時間を捻出するには

ある経営者からのご質問
会社を良くする為の改善策を何度も打ち出していますが、『忙しさ』を理由になかなか実行されません。どうすれば時間を作る事が出来るでしょうか。

 

<回答>

中小企業は余剰人員を抱える余裕が無く、最小限の人数で業務を回しています。暇な社員がいる方がおかしいのであり、忙しくて当然です。

 

問題は、目の前の業務を多く抱えている中で、どうやって『将来を見据えた取り組み』をするかです。

 

その為には、相応の時間管理(タイムマネジメント)が必要になります。

 

忙しいのは心と体のどちらか

 

忙しさを克服する上で区別しないといけないのは『多忙』と『多忙感』の違いです。

 

『多忙』とは、やるべき作業が多く物理的に時間が足りない状態です。忙しいのは体であり、「時間が足りない」とはこちらを指します。

 

一方で『多忙感』は、仕事に追われて心に余裕が無い状態を言います。感覚的なものであり、実際に時間が無いかどうかは別問題です。

 

口では「忙しい」とは言い、恐らく本人もそう思っているでしょうが、一分一秒無駄にせずに使っているかと言えば、割と時間を無駄に使っていたりするものです。

 

必ずしも物理的に時間が足りない訳ではない点に注意が必要です。

 

なぜ心に余裕が無くなるのか

 

仕事に追われて心に余裕が無いのは、仕事量よりもスケジューリングの問題です。

 

例えば、御社の社員は、やるべき事を毎日書き出す習慣はあるでしょうか。1週間(40時間)の使い方を計画立てる習慣はあるでしょうか。作業

 

時間を測ったり、見積もったりする習慣はどうでしょうか。

 

作業期間の長い仕事は小さな作業に小分けし工程表を作っているでしょうか。立てた計画を随時見直す事を習慣化しているでしょうか。

 

体より心が忙しいのは、『今後の所要時間』が見えてないからです。社員、特に管理職が多忙感に支配されると、経営改善は進みません。

 

体は忙しくも頭は冷静に保つ事が大切です。

 

それは本当に『やるべき事』か

 

やるべき事が実際に多い場合は、優先順位づけが極めて重要です。

 

その際に着目すべきは、「何が重要か」ではありません。「何が重要でないか」です。

 

社員の時間には値段があります。社会保険込みの年収を総労働時間で割れば『時間あたり人件費』、つまり、その社員の『時給』が出ます。

 

仕事とは、『時給』の何倍の結果を出せるかの勝負です。効率も大事ですが、その前に「そもそも限られた時間で何をするか」が重要です。

 

一般社員が出来る作業を管理職がやっていないでしょうか。パートで出来る作業を正社員がやっていないでしょうか。特定の人が業務を抱え込んでいないでしょうか。

 

顧客満足と関係ない作業を自己満足でやっていないでしょうか。買う気のない見込客に時間を取られ過ぎてはいませんか。誰も見ない資料を時間を
掛けて作る人はいませんか。

 

時間を作るには、「何をやめるか」「何を他人にさせるか」「どこを省力化するか」の明確化が重要です。

 

効率化には仕組みが必要

 

業務を効率化するには、それなりの仕組みづくりも必要です。

 

業務で特に時間を要するのは、ミスやトラブル、特殊な要望、飛び込み案件など『イレギュラー』への対応です。これが頻繁に発生すると、現場は作業に追われ、特に管理職クラスの時間を食い潰します。

 

イレギュラーを減らすには、問題の予防や再発防止を徹底して下さい。

 

顧客の個別要望も出来るだけパターン化しましょう。飛び込み案件にしても、普段から情報を取っていればある程度の予測は可能です。

 

大事なのは、イレギュラーへの対応に留まらずにレギュラー化してしまう事です。時間短縮のみならず競争力にも繋がります。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年7月号掲載)

 

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