ヒント(89) 社員の定着率を高めるには

ある経営者からのご質問
当社は社員の定着率が低く、退職者が出ては補充する事を繰り返しています。常に新人を抱えている為、業務効率が悪く、攻めの活動に中々取り組めません。どうすれば社員を定着させる事ができるでしょうか。

 

<回答>

社員の離職を減らし定着率を高めるには、社員が会社に不満を持つ要因を知る必要があります。

 

最初に断わっておきますが、『仕事へのやり甲斐』と『会社への満足』は別物です。

 

仕事にやり甲斐を持っていても会社に強い不満があれば、その社員は転職を検討します。仕事自体は同業他社でも出来るからです。『モチベーション』には、2つの意味があるので注意して下さい。

 

ここでは、会社への満足に絞って話をします。

 

賃金水準が低すぎないか

 

会社に対する不満で最も多いのが賃金(給与や賞与)など待遇面の不満です。社員にも生活がありますから、賃金が低すぎると離職率が高くなります。

 

賃金水準が業界平均を下回っているのであれば、段階的に引き上げていく必要があります。

 

人件費が上がると利益が減ると思われるかもしれませんが、人件費は平均賃金と従業員数の掛け算です。

 

社員の定着率が良くなると業務効率が上がるため、『一人あたりの利益』も増えます。つまり、同じ粗利益を少ない人数で稼げるようになります。もしくは、同じ人数でもっと多くの粗利益を稼げます。

 

平均賃金と一人あたりの利益のバランスを維持する限り、賃金水準を上げても業績は悪化しません。

 

給与体系や人事考課は適切か

 

賃金水準が業界平均以上であっても、何人かの社員が賃金に不満を持つ事があります。

 

この場合、給与体系や人事考課に問題がある可能性があります。社員にとって、給与や賞与の額は『生活の糧』であると同時に、『会社からの評価』でもあります。

 

自分で思っている会社への貢献度よりも、会社からの評価が低いと感じると、社員は不満を持ちます。

 

勿論、本人が自惚れているだけのケースも多々あります。しかし、実際の貢献度を正しく評価し、本人に理解させるのも会社側の責任です。

 

その意味でも、働きぶりの評価(人事考課)を少しでも適切にできるよう努力しなければなりません。

 

給与や賞与の金額は、評価の数字でもある点に留意して下さい。

 

職場環境を改善する

 

職場の作業環境や人間関係も定着率に大きく影響します。

 

肉体的または精神的な負荷が高い場合は、それを解消しないと一定割合の社員がドロップアウトします。

 

作業のコツを知るベテラン社員には耐えられても、新人はそうではないかも知れません。

 

また、特定の社員に負荷が集中し過ぎないよう、会社側が配慮する事も大切です。

 

職場の人間関係としては、まず会話の量を増やす必要があります。

 

コミュニケーションが不足すると、社員同士で疑心暗鬼になりやすくなります。特に、上司と部下の間柄では、普段から意図的に会話を増やすようにしましょう。

 

報告不足や連絡ミスも人間関係に悪影響を及ぼします。元気のない職場は報連相が出来てないものです。

 

会社方針に対する不満

 

会社や社長の方針に対する不満は中堅層以上の離職率に影響します。

 

たとえば、達成不可能(と思われる)ノルマを与える一方で、達成責任だけ本人に押し付け、会社側が何もサポートしないケースです。

 

現場からの提案を頭ごなしに否定する事もこれに該当します。

 

また、社長の思いつきで方針がコロコロ変わるのもそうです。自分が残業も厭わず頑張った事が否定されたと感じると、強い不満を持ちます。

 

会社の方針や目標の策定には、社員を極力参画させ、一度決めた方針を変える場合は、納得行くまで社内で話し合う事が重要です。

 

定着率を高めるべく、会社組織のあり方をよく再考して下さい。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年8月号掲載)

 

一覧表に戻る