ヒント(91) 短納期要請に対応するには

ある経営者からのご質問
ここ数年、発注者から指定される納期が短くなり、社員が残業をして対応するのが常態化しています。この状態を改めるにはどうすればいいでしょうか。

 

<回答>
短納期が求められる背景は業種によって違いますが、納期短縮のニーズは今後も変わらないどころか、ますます強くなると予想されます。

 

そして、業界は、短納期の要請に「無理をして対応する会社」と「無理なく対応できる会社」の2つに分かれて行くでしょう。当然ながら、競争に勝つのは後者です。

 

そうすると、短納期に対応できる仕組みづくりが経営課題として浮上してきます。

 

工程管理が基本

 

納期を短縮するには、まず工程管理をしっかりさせる必要があります。案件を各工程に分解し、工程ごとに所要時間を見積もってスケジュール管理するのが基本です。

 

発注者と約束する納期は案件単位で決めますが、管理は工程単位です。「最終的に間に合わせればいいだろう」という感覚だと、前半でのんびりと構えて後半で慌てる事になります。小学生の夏休みの宿題みたいな事をやっていないでしょうか。

 

特に、各工程で担当者間の引継が発生する場合は、引継の期限(納期)の順守も徹底すべきです。納期が厳しいのは、上流工程に問題があるケースも少なくありません。

 

予備時間を見積もっておく

 

また、所要時間の見積りですが、案件全体に予備日が無いと、少し予定が狂うだけで納期が遅れます。

 

建設業では、よく天候不順が納期遅れの言い訳に使われますが、そもそも当初計画では、雨天が何日あるとの想定だったのでしょうか。

 

ちなみに、予備は工程単位では要りません。特に、上流工程に予備時間を設けてしまうと、変な安心感が生まれ、作業をゆっくりとしてしまいがちです。

 

工程単位は時間ギリギリ、案件全体に余裕を持たせる、といった管理が必要です。

 

顧客をリードする

 

案件の仕様決定が遅れると、納期が厳しくなります。その為、営業担当者の動きが重要になります。

 

営業担当者は、発注者に対して期限を切る事はしているでしょうか。発注者の発言に矛盾や曖昧さがないか確認しているでしょうか。自分から積極的に情報を取りに行っているでしょうか。

 

営業の仕事は客にペコペコする事ではありません。納期短縮に何が必要かを理解し、発注者に協力を要請する事が大切です。

 

リスク管理をする

 

毎回仕様の異なる案件を手掛ける場合はリスク管理も必要です。

 

短納期の敵はイレギュラーの発生です。万時順調なら仕事は早く終わるものです。

 

ミスや手戻り、仕様変更やトラブルなどが起きると、途端に時間を浪費します。そして、そのダメージは後の工程である程、大きくなります。

 

できる管理者は、案件に潜むリスクを前もって洗い出し、問題の予防に努めているものです。

 

御社では、リスク管理が徹底されているでしょうか。問題が起きてから慌てて対処していないでしょうか。

 

PDCAサイクルを回す

 

会社全体の取り組みとしては、PDCAサイクルを回して下さい。案件が終わった後に検証(C:チェック)をする事が、次への改善(A:アクション)に繋がります。

 

その際は、案件全体で納期を守れたかどうかだけでなく、工程ごとに所要期間や工数を守れたかどうかを分析する事が大切です。大雑把ではいけません。

 

そして、良い方法があれば全社員で共有し、作業をどんどん標準化しましょう。図面なども部品化し再利用しましょう。便利なツールがあれば取り入れましょう。

 

仕組みは急には作れません。一つ一つ積み重ねていく事が重要です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年10月号掲載)

 

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