ヒント(92) 経営改善の切り口は

ある経営者からのご質問
売上高が低下し資金繰りが厳しくなりつつあります。現場に発破をかけるだけでなく、経営のあり方そのものを見直す時期に来ていると感じています。どのような点に着目し、経営改善を図ればいいでしょうか。

 

<回答>
結果には必ず原因があります。経営改善を図るには、厳しい状況を生み出した原因をよく分析し、悪い原因を除去しなければなりません。思いつきの対策では結果は同じです。

 

原因には2種類ある

 

業績低下の原因は、社会情勢、競合状況、顧客動向などの「外的要因」と、商品力や営業力、業務効率などの「内的要因」の2つに分かれます。

 

このうち、外的要因は自社ではコントロールできません。それよりは、どう対応するかが問題です。業績が悪化するのは外部環境に対応できていないからです。環境自体に文句を言っても何も変わりません。

 

一方で、内的要因は自社で管理でき、取り組み次第で強い会社と弱い会社に分かれます。自社の弱点を克服する事が経営改善の重要ポイントになります。

 

なぜ売上高が低下しているのか。なぜ資金繰りが厳しいのか。精神論や思い込みではなく、客観的に分析する事が経営改善の第一歩です。

 

事業構成は適切か

 

損益改善と言えば、売上高の増加を考える人も多いのですが、その前にすべき事があります。それは事業構成の見直しです。

 

複数の事業を営んでいる会社では、損益は事業ごとに異なります。事業別損益をみて、赤字事業については、黒字化できそうか事業中止すべきかを見極めなければなりません。

 

また、同じ事業でも客層や販路、商品分野は複数存在します。客層や販路、商品分野ごとの採算を分析し、収益性や生産性の低い部分は縮小または撤廃し、成長性や収益性が見込める部分に集中する事も大切です。

 

つまり、事業、客層、販路、商品分野の構成を抜本的に見直すのです。

 

コストの削減を図る

 

また、損益改善には、固定費の削減と限界利益の増加が必要です。

 

まずは過剰な固定費の削減です。無駄な経費の削減は当然ですが、最も注目すべきなのは人件費です。

 

限界利益に対して人件費の割合が高いのは人員が余剰だからです。

 

業務分担が縦割り過ぎると、現場の従業員数が多くなります。品質基準が曖昧だと、過剰品質により生産性低下を招きます。

 

作業の標準時間を決めないとペースが遅くなります。労務管理が不十分だと残業代が増えます。

 

道具に不備があると作業効率が悪くなります。現場の段取りが悪いと飛び込みの仕事に振り回されます。

 

多くの会社では、現場は「忙しい」と言いますが、一方で多くの会社で人員が余剰なのも事実です。人件費にメスを入れられるかどうかが経営改善の試金石になります。

 

限界利益を増やす

 

限界利益を増やすには、変動費の削減が必要です。中でも見直しの余地が大きいのは仕入れと外注です。

 

取引先の見直しや単価交渉は必須です。また、仕入れであれば、廃棄や歩留まりの改善も必要です。外注の場合、外注をやめて内製化する事も検討すべきです。

 

売上高に対する変動費の割合をさげることで、価格競争力もつきます。

 

そのうえで、売上高の向上です。資金繰りが厳しい時は、新規客よりも既存客が先です。顧客対応や提案を徹底し、リピート購買や呼び戻しを図りましょう。

 

集客や商品開発はその次です。確実性の高い事を優先すべきです。

 

資金繰りを改善する

 

資金繰り悪化は、売掛金や在庫の増加が原因かも知れません。新商品への資金投入が過剰かも知れません。

 

貸借対照表をよく見て、経営管理に問題がないか分析して下さい。

 

改善を焦ると思考が堂々巡りになりがちです。冷静に、一つずつ問題をつぶしていきましょう。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年11月号掲載)

 

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