ヒント(93) 自社に合った評価基準を作るには

ある経営者からのご質問
社員の評価基準を何度か作ろうとしましたが、中々うまくいきません。他社の評価基準を参考にしても自社には合わない気もします。
どうすれば、自社に合った評価基準を作れるでしょうか。

 

<回答>
評価基準がうまく作れないのは、評価基準を作るための土台がないからです。土台とは、「会社が求める人材像」のことです。

 

どんな人材を必要とするかは、会社の社風や経営方針、事業の数や規模によって異なります。会社が求める人材像が不明確なるが故に、評価基準を作り切れないのです。よって、まずこれを定義します。

 

どんな人材を求めるのか

 

会社が求める人材像とは、社長や上司の立場でどんな社員を必要としているか、を言います。

 

何となくモヤモヤとしたイメージは有るかも知れませんが、これを明文化する事が重要です。何事も文章にしないと整理できませんし、共有できません。

 

人材像は、役職や職種ごとに定義します。例えば「求める課長像」「求める営業社員像」と言った具合です。

 

これを、成果、能力、価値観、態度などの観点から、具体的に細かく記述します。

 

ある程度、理想像で結構です。定義した人材像が評価のみならず社員教育の土台にもなります。

 

評価項目はシンプルに

 

評価項目は「求める人材像」を元に設定します。その際、項目はできるだけ絞るのがポイントです。

 

大企業の評価基準が細かいのは、評価に相当の時間を割けるからです。人事管理の専属部署がありますし、管理職も本当に管理だけしかしませんので、部下を一人ずつ評価する時間も確保されています。

 

一方で、中小企業には人事部はありませんし、管理職の多くはプレイングマネージャーです。

 

細かい評価をしようとしても大抵は挫折しますし、無理に細かい評価基準を取り入れても、評価結果が「直観的な評価」に合わず、やがて評価基準が形骸化します。

 

評価項目は多くても10項目以下に絞るべきです。

 

細かい技能は別途管理する

 

評価項目でありがちな問題は、技能面の評価項目が細かすぎて、適正な評価を妨げる事です。

 

例えば、社員に求められる技能が10個あるとします。「このうち9個は出来るが残り1個が全く出来ない社員」がいた場合、この社員をどう評価すべきでしょうか。

 

9割が出来ているから90点でしょうか。違います。10個とも身に付いて初めて一人前なので、この社員の点数は良くて60点でしょう。

 

技能を細かく点数化して積み上げると、こうした評価間違いが起きる可能性があります。能力は総合的に評価すべきです。

 

しかし、そうは言っても、社員教育上は技能を細かく管理すべきです。

 

そこで、習得すべき技能を一覧化した「スキルシート」を別途作成して管理する事をお奨めします。

 

評価と教育で項目の「粒の大きさ」を分けるのがポイントです。

 

個人業績をどう評価するか

 

評価基準で悩ましいのは、個人成績をどう評価すべきかでしょう。

 

営業職以外は点数化しにくいですし、営業職が出した成果も、本人の実力だけとは限りません。

 

したがって、業績評価にはどうしても主観が入りますが、それでも良いのです。問題は主観の中身です。

 

業績評価の切り口になるのは「数値目標」と「課題解決」です。

 

数値目標は達成度だけでなく、達成意欲や力量も評価すべきです。会社が求めるのは、結果を「出した人」ではなく「出せる人」の筈です。

 

数値目標を設定しにくい職種では、何らかの課題を設定し、解決の度合いをもって個人成績とします。管理職の業績評価に向いています。

 

評価基準は厳密さよりも、方向性の合致の方が重要です。

 

(那覇商工会議所・商工ニュース2012年12月号掲載)

 

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